2009年 京都大学(文系)・前期 問題と解答
1. 次の各問にそれぞれ答えよ。 (1) xyz空間上の2点A(−3,−1,1),B(−1,0,0)を通る直線lに点C(2,3,3)から下ろし た垂線の足Hの座標を求めよ。 (2) 白球と赤球の入った袋から2個の球を同時に取り出すゲームを考える。取り出した2球が ともに白球ならば「成功」でゲームを終了し,そうでないときは「失敗」とし,取り出した2球に 赤球を1個加えた3個の球を袋にもどしてゲームを続けるものとする。最初に白球が2個, 赤球が1個袋に入っていたとき,n−1回まで失敗しn回目に成功する確率を求めよ。ただし, n≧2とする。 |
[解答]
(1)
CH⊥ABだから,←内積=0を使う。
2(2t−5)+(t−4)−(−t−2)=0
6t−12=0
t=2
(答) (1,1,−1)
(2) k=1,2,3,・・・,n−1とする。
k回目では,袋の中に白球2個,赤球k個が入っている。この回に失敗する確率は,
白白以外を取り出す確率。
また,n回目では,袋の中に白球2個,赤球n個が入っている。この回に成功する確率は,
白白を取り出す確率。
よって,求める確率は,←上の確率の全部の積
2. 整式f(x)と実数Cが をみたすとき,このf(x)とCを求めよ。 |
[解答]
等式を変形すると,←xを積分の外に出しておく。
両辺をxで微分すると,←まず微分したくなる。
ここで,←f をA,Bに代入する。
だから, 2A+2B=1 ・・・・・・@
だから, A+3B=1 ・・・・・・A
@,Aより,
また,★にx=0を代入すると,←これでCがわかる。
3. x,yはx≠1,y≠1をみたす正の数で,不等式 log x y+log y x>2+(log x 2)(log y 2) をみたすとする。このときx,yの組(x,y)の範囲を座標平面上に図示せよ。 |
[解答]
log x y+log y x>2+(log x 2)(log y 2)
底を2として,底の表記は省略する。←まずは底をそろえる。
両辺に正の数(log x・log y)2 を掛けて,
log x・log y(log x−log y+1)(log x−log y−1)>0
ここで,←領域の境界線を調べる。
log x=0のとき,x=1
log y=0のとき,y=1
(答)図の黄の部分。境界は含まない。←4つの境界線をかいておき,交互に色をぬる。
4. 平面上で,鋭角三角形△OABを辺OBに関して折り返して得られる三角形を△OBC, △OBCを辺OCに関して折り返して得られる三角形を△OCD,△OCDを辺ODに関して 折り返して得られる三角形を△ODEとする。△OABと△OBEの面積比が2:3のとき, sin∠AOBの値を求めよ。 |
[解答]
∠AOB=θ,OA=a,OB=bとすると,
3θ=πのときは△OBEはできない。それ以外のときは次のようになる。←場合分けがあるのがうっかりしやすい。
どちらの場合も,
あとは絶対値の中を考えればOK。
0<sin2θ<1より,−1<3−4sin2θ<3だから,←1つに限定される。
5. pを素数,nを正の整数とするとき,(
p n )!はpで何回割り切れるか。 |
[解答]
( p n )!=1・2・3・・・・・・p n
1からp nまでの整数すべてについて,pの因数の個数を求めればよい。
pの倍数は, 1・p,2p,3p,・・・,p n−1・pだから, p n−1個。
p2の倍数は, 1・p2,2p2,3p2,・・・,p n−2・p2だから, p n−2個。
・・・・・・・・・・・・
p n−1の倍数は, 1・p n−1,2 p n−1,3 p n−1,・・・,p・p n−1だから, p個。
p nの倍数は, p n のみで, 1個。
この中には重複した数があるが,pの因数の個数はこれらの和で求まる。
この合計は,
p n−1+p n−2+・・・+p+1
これが,( p n )!がpで何回割り切れるかを表す数である。