2007年 日本ジュニア数学オリンピック 問題と解答
2007年1月8日 試験時間2時間
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[解答]
2. 四角形ABCDにおいてAB=5,BC=7,CD=6であり,対角線ACとBDは四角形の内部 で直交している。DAを求めよ。 |
[考え方]
分けられた4つの三角形で三平方の定理を使います。
[解答]
OA=a,OB=b,OC=c,OD=dとする。 三平方の定理から, △OABで, a2+b2=25 ・・・・・・@ △OBCで, b2+c2=49 ・・・・・・A △OCDで, c2+d2=36 ・・・・・・B @+B−Aより, a2+d2=12 ←DAの2乗の式を作ります DA2=12 |
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[考え方]
分母と分子をそれぞれ文字でおいて,通分し,あてはまる分子の数を考えます。
[解答]
4. 実数を係数とする3次の3変数多項式f ( x,y,z ) であって,次の条件を満たすものを1つ 求めよ。 ・ f ( x,y,z )+xはy+zで割り切れる。 ・ f ( x,y,z )+yはz+xで割り切れる。 ・ f ( x,y,z )+zはx+yで割り切れる。 ただし,多項式P ( x,y,z ) が多項式Q ( x,y,z ) で割り切れるとは, P ( x,y,z )=Q ( x,y,z ) R ( x,y,z ) となる多項式R ( x,y,z )が存在することをいう。 |
[考え方]
カンを頼りに探すしかない。あまりいい問題とはいえません。
[解答]
f (x,y,z)+x=( y+z )×L
f (x,y,z)+y=( z+x )×M
f (x,y,z)+z=( x+y )×N ( L,M,N は多項式 )
とおける。左辺を
f (x,y,z)にそろえると,←この変形は高校レベルですな。
f (x,y,z)+( x+y+z )=( y+z )×( L+1)
f (x,y,z)+( x+y+z )=( z+x )×( M+1)
f (x,y,z)+( x+y+z )=( x+y )×( N+1)
と表せる。
これより f (x,y,z)+( x+y+z ) はy+z,z+x,x+y を因数にもつ3次式なので,そのようなものを
1つ求めると,
f (x,y,z)+( x+y+z )=(x+y) (y+z) (z+x) ←これでよいのでしょうか?変な問題。
f (x,y,z)=(x+y) (y+z) (z+x)−( x+y+z )
(答) (x+y) (y+z) (z+x)−(x+y+z)
5. 5×5のマス目があり,そのうち左上の4×4のマス目の各マスに1,2,・・・,16の整数 のいずれかを,どの2マスに書かれた数も相異なるように書き込む(★)。第1行から第4行の 各行について,その行に書かれた4つの数の合計をその行の右端の何も書かれていないマス に書き込む。同じように,第1列から第4列の各列についても,その列に書かれた4つの数の 合計をその列の下端の何も書かれていないマスに書き込む。右下隅のマスには何も書き込 まない。 以下の条件を満たす最大の整数mを求めよ。 条件:(★)の段階でうまく数を書き込むと,第5列に,書き込まれた数の差がm以上の 2マスが存在し,第5行に,書き込まれた数の差がm以上の2マスが存在する。 |
[考え方]
例えば,次のようになります。
この場合はm=7となります。このmをなるべく大きくしたいので,最大の列には大きな数を,
最小の列には小さな数を入れ,差の値が均衡するようにします。
[解答]
第5列に書かれた4数のうち, 最大数をS,最小数をs, 第5行に書かれた4数のうち, 最大数をT,最小数をt とし,右図のように各マスの数を文字でおく。 mが最大となる場合,和が最小の行,列の交点には1が,和が最大の行,列の交点には16が入る。 なぜなら,これら交点に別の数が入った場合,その数を1,16にそれぞれ入れ替えれば, S−sまたはT−tをさらに大きくできるからである。 ここで, |
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S−s = (p+q)−(a+b)+(x−y)+15
T−t = (r+s)−(c+d)−(x−y)+15
辺々を足すと,
( S−s )+( T−t )=(p+q+r+s)−(a+b+c+d)+30 ←これが気づきにくいか。
p+q+r+sが最大となるのは,12+13+14+15=54 ←16はすでに使っているので。
a+b+c+dが最小となるのは,2+3+4+5=14 ←1はすでに使っているので。
だから,( S−s )+( T−t ) が最大となる値は,54−14+30=70
S−s , T−t のうちの小さい方(大きくない方)がmとなるので,mが最大になるのは,
S−s=35, T−t=35
のときである。このようになる例は,次の場合がある。
(答) 35
6. 三角形ABCにおいて,BC,CA,ABの中点をそれぞれD,E,Fとすると,AD=3,BE=4, CF=5である。ABCの面積を求めよ。 |
[考え方]
ADを延長して,平行四辺形を作ります。
7. 四角形ABCDの対角線AC,BDは四角形の内部の点Pで交わっている。 AC=2,BD=3,∠APB=60°であるとき,AB+BC+CD+DAのとりうる最小値を求めよ。 |
[考え方]
これも補助線を引きます。2点を結んだ線の長さが最小となるのは線分のときで,これを踏まえて
4辺の長さの和を,うまく置き換えられるようにします。
[解答]
ACに平行で長さがACに等しい線分BE,DFを図のように引くと,←なかなか発見できませんね。
四角形ABEC,ACFD,BEFDは平行四辺形となる。
ここで,AB=CE,AD=CFだから,
AB+BC+CD+DA=CE+BC+CD+CF
=(BC+CF)+(DC+CE) ←うまくいった感。
この和が最小となるのは,四辺形BEFDの対角線の交点がCになるときである。
図から,最小値は,
8. nは十の位が0でない4桁の正の整数であり,nの上2桁と下2桁をそれぞれ2桁の整数と 考えたとき,この2数の積はnの約数となる。そのようなnをすべて求めよ。 |
[考え方]
上2桁をA,下2桁をBとして,まずAとBの条件を作ります。
[解答]
nの上2桁をA,下2桁をBとすると,n=100A+B
これがABの倍数となるから,100A+BはAの倍数である。
よって,BはAの倍数だから,B=t A (t=1,2,・・・,9) ←まずはAとBの関係を築く。
と表せる。
また,100A+BはB(=t A)の倍数でもあるから,100Aはt Aの倍数,つまりtは100の約数である。
よって,t=1,2,4,5 ←さらに条件がしぼれた。
このとき,n=100A+t A=A(100+t)だから,これがABの倍数になるには,
Bが100+tの約数になる場合を求めればよい。
(ア) t=1のとき ←順に調べていく。
101の2桁の約数はない。
(イ) t=2のとき
B=2A だから,Bは偶数。←これを出しておくと探しやすい。
102の2桁の約数のうち,偶数は,34
B=34,A=17,n=1734
(ウ) t=4のとき
B=4A だから,Bは4の倍数。
104の2桁の約数のうち,4の倍数は,52
B=52,A=13,n=1352
(エ) t=5のとき
B=5A だから,Bは50以上の5の倍数であるが,104の約数にこれはない。
(答)1352,1734
9. 19×19のマス目がある。すべての辺がマスの境界に沿っている長方形を「良い長方形」 ということにする。次の条件を満たす最小の整数nを求めよ。 条件:どのように9個のマスを取り除いても,残りの部分をn個以下の良い長方形に分割できる。 |
[考え方]
取り除くマスを少なくして調べ,規則性を見つけます。
取り除くマスが端の列にある場合,取り除くマスが端の列にない場合よりも分割の数が少ない。
また,取り除くマスが同じ列にある場合,取り除くマスが同じ列にない場合よりも分割の数が少ない。
だから,取り除くマスがすべて端ではなく,かつ同じ列にない場合を考えます。
[解答]
取り除くマスの数をm個とする。問題の答えはm=9のときを考えればよい。
まず,取り除くm個のマスをすべて含む「良い長方形」を考え,このうちで面積が最小の長方形をSとする。
そしてSの内部を良い長方形で分割するとき,個数が最小となるように分割したときの,それらの個数の最
大値をamとする。
↑言い方が難しいです。マス目の取り除き方のすべての場合を調べるという前提で,どの場合も良い長方形が最小になるように囲む。
そのときの各々の良い長方形の個数のうちの最大値をamとする,ということです。
取り除くマスのうち,Sの各辺に接するものがそれぞれ存在する。これとSの辺について対称な右図のような赤いマスが存在する場合,そのどのマスもSの内部の良い長方形に含めて囲むことができない。 だから,全体を良い長方形で分割するには (am+4)個の長方形が必要となる。 よって求めるnは, n=a9+4 となる。 そこで,a9を求めるため,amを順に調べていく。 |
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(@) m=3のとき
良い長方形の個数が最小になるように囲むとき,この図の場合は6個である。
よって, a3=6 ←どのように囲んでも最小で6個となったが,5個では囲めないことを示す必要がある。
これがわからない・・。
(A) m=4のとき
この図のように,a4=9である。←8個では囲めないことを示す必要がある。これもわからない。
いま,取り除くマスを1個追加したときに,分割する長方形が何個増えるのかを考える。
追加したマス目が,分割してある良い長方形のどの部分にくるのかで次の3通りの場合がある。
このように最大で3個増える場合がありうるので,以下a5,a6,・・・は,3個ずつ増えていく。
↑ここがわからない。一番右の場合でも,4つの新しい長方形のどれかがこれまでの長方形に含まれてしまう
ことがあれば,「3個増える」とは言い切れない。これを示す必要があるのですが,う〜〜ん,難しい。
よって, a9=a4+3×(9−4)=24
求める最小の整数nは,
n=a9+4=24+4=28
(答) 28