2007年 日本ジュニア数学オリンピック 問題と解答

 

200718日 試験時間2時間

 

 

 

 

[解答]

 

 

 


 

 2.  四角形ABCDにおいてAB5BC7CD6であり,対角線ACBDは四角形の内部

  で直交している。DAを求めよ。

 

 

[考え方] 

分けられた4つの三角形で三平方の定理を使います。

  

 

[解答]

OAaOBbOCcODdとする。

三平方の定理から,

OABで, a2b225 ・・・・・・@

OBCで, b2c249 ・・・・・・A

OCDで, c2d236 ・・・・・・B

@+B−Aより, 

  a2d212 DAの2乗の式を作ります

   DA212

 

 

 

 

 

 

 

[考え方] 

分母と分子をそれぞれ文字でおいて,通分し,あてはまる分子の数を考えます。

 

[解答]

 

 

 

 4.  実数を係数とする3次の3変数多項式f ( xyz ) であって,次の条件を満たすものを1つ

   求めよ。

     ・ f ( xyz )xyzで割り切れる。

     ・ f ( xyz )yzxで割り切れる。

     ・ f ( xyz )zxyで割り切れる。

   ただし,多項式P ( xyz ) が多項式Q ( xyz ) で割り切れるとは,

   P ( xyz )Q ( xyz ) R ( xyz ) となる多項式R ( xyz )が存在することをいう。

 

 

[考え方] 

カンを頼りに探すしかない。あまりいい問題とはいえません。

 

[解答] 

f (xyz)x( yz )×L

f (xyz)y( zx )×M

f (xyz)z( xy )×N   ( LMN は多項式 )

とおける。左辺を f (xyz)にそろえると,←この変形は高校レベルですな。

   f (xyz)( xyz )( yz )×( L1)

   f (xyz)( xyz )( zx )×( M1)

   f (xyz)( xyz )( xy )×( N1) 

と表せる。

これより f (xyz)( xyz ) yzzxxy を因数にもつ3次式なので,そのようなものを

1つ求めると,

   f (xyz)( xyz )(xy) (yz) (zx)  ←これでよいのでしょうか?変な問題。

   f (xyz)(xy) (yz) (zx)( xyz )

(答) (xy) (yz) (zx)(xyz)

   

 

 

 

 5.  5×5のマス目があり,そのうち左上の4×4のマス目の各マスに1,2,・・・,16の整数

   のいずれかを,どの2マスに書かれた数も相異なるように書き込む(★)。第1行から第4行の

   各行について,その行に書かれた4つの数の合計をその行の右端の何も書かれていないマス

   に書き込む。同じように,第1列から第4列の各列についても,その列に書かれた4つの数の

   合計をその列の下端の何も書かれていないマスに書き込む。右下隅のマスには何も書き込

   まない。

   以下の条件を満たす最大の整数mを求めよ。

     条件:(★)の段階でうまく数を書き込むと,第5列に,書き込まれた数の差がm以上の

        2マスが存在し,第5行に,書き込まれた数の差がm以上の2マスが存在する。

 

 

[考え方] 

例えば,次のようになります。

この場合はm7となります。このmをなるべく大きくしたいので,最大の列には大きな数を,

最小の列には小さな数を入れ,差の値が均衡するようにします。

 

 

[解答] 

第5列に書かれた4数のうち,

 最大数をS,最小数をs

第5行に書かれた4数のうち,

 最大数をT,最小数をt

とし,右図のように各マスの数を文字でおく。

mが最大となる場合,和が最小の行,列の交点には1が,和が最大の行,列の交点には16が入る。

なぜなら,これら交点に別の数が入った場合,その数を1,16にそれぞれ入れ替えれば,

SsまたはTtをさらに大きくできるからである。

ここで, 

       Ss (pq)(ab)(xy)15

       Tt (rs)(cd)(xy)15

辺々を足すと,

    ( Ss )( Tt )(pqrs)(abcd)30 ←これが気づきにくいか。

pqrsが最大となるのは,1213141554 16はすでに使っているので。

abcdが最小となるのは,234514  1はすでに使っているので。

だから,( Ss )( Tt ) が最大となる値は,54143070

Ss Tt のうちの小さい方(大きくない方)がmとなるので,mが最大になるのは,

 Ss35Tt35

のときである。このようになる例は,次の場合がある。

(答) 35

 

 

 

 

 6.  三角形ABCにおいて,BCCAABの中点をそれぞれDEFとすると,AD=3,BE=4,

   CF=5である。ABCの面積を求めよ。

 

 

[考え方] 

ADを延長して,平行四辺形を作ります。

 

 

 

 

 

 

 

 7.  四角形ABCDの対角線ACBDは四角形の内部の点Pで交わっている。

    AC=2,BD=3,∠APB=60°であるとき,ABBCCDDAのとりうる最小値を求めよ。

 

 

[考え方] 

これも補助線を引きます。2点を結んだ線の長さが最小となるのは線分のときで,これを踏まえて

4辺の長さの和を,うまく置き換えられるようにします。

 

[解答] 

ACに平行で長さがACに等しい線分BEDFを図のように引くと,←なかなか発見できませんね。

四角形ABECACFDBEFDは平行四辺形となる。

ここで,ABCEADCFだから,

ABBCCDDACEBCCDCF

            =(BCCF)+(DCCE) ←うまくいった感。

この和が最小となるのは,四辺形BEFDの対角線の交点がCになるときである。

 

図から,最小値は,

 

 

 


 

 8.  nは十の位が0でない4桁の正の整数であり,nの上2桁と下2桁をそれぞれ2桁の整数と

    考えたとき,この2数の積はnの約数となる。そのようなnをすべて求めよ。

 

 

[考え方] 

上2桁をA,下2桁をBとして,まずABの条件を作ります。

 

 

[解答] 

nの上2桁をA,下2桁をBとすると,n=100AB

これがABの倍数となるから,100ABAの倍数である。

よって,BAの倍数だから,Bt A (t=1,2,・・・,9) ←まずはABの関係を築く。

と表せる。

また,100ABBt A)の倍数でもあるから,100At Aの倍数,つまりtは100の約数である。

よって,t=1,2,4,5 ←さらに条件がしぼれた。

このとき,n=100At AA(100+t)だから,これがABの倍数になるには,

Bが100+tの約数になる場合を求めればよい。

 

(ア) t=1のとき ←順に調べていく。

  101の2桁の約数はない。

(イ) t=2のとき

   B=2A だから,Bは偶数。←これを出しておくと探しやすい。

  102の2桁の約数のうち,偶数は,34

     B=34,A=17,n=1734

(ウ) t=4のとき

   B=4A だから,Bは4の倍数。

  104の2桁の約数のうち,4の倍数は,52

     B=52,A=13,n=1352

(エ) t=5のとき

   B=5A だから,Bは50以上の5の倍数であるが,104の約数にこれはない。

 

(答)1352,1734

 

 

 

 


 

 9.  19×19のマス目がある。すべての辺がマスの境界に沿っている長方形を「良い長方形」

    ということにする。次の条件を満たす最小の整数nを求めよ。

  条件:どのように9個のマスを取り除いても,残りの部分をn個以下の良い長方形に分割できる。

 

 

[考え方] 

取り除くマスを少なくして調べ,規則性を見つけます。

 

取り除くマスが端の列にある場合,取り除くマスが端の列にない場合よりも分割の数が少ない。

また,取り除くマスが同じ列にある場合,取り除くマスが同じ列にない場合よりも分割の数が少ない。

だから,取り除くマスがすべて端ではなく,かつ同じ列にない場合を考えます。

 

 

[解答] 

取り除くマスの数をm個とする。問題の答えはm=9のときを考えればよい。

まず,取り除くm個のマスをすべて含む「良い長方形」を考え,このうちで面積が最小の長方形をSとする。

そしてSの内部を良い長方形で分割するとき,個数が最小となるように分割したときの,それらの個数の最

大値をamとする。

↑言い方が難しいです。マス目の取り除き方のすべての場合を調べるという前提で,どの場合も良い長方形が最小になるように囲む。

そのときの各々の良い長方形の個数のうちの最大値をamとする,ということです。

 

取り除くマスのうち,Sの各辺に接するものがそれぞれ存在する。これとSの辺について対称な右図のような赤いマスが存在する場合,そのどのマスもSの内部の良い長方形に含めて囲むことができない。

だから,全体を良い長方形で分割するには

am+4)個の長方形が必要となる。

よって求めるnは,

      na9+4

となる。

そこで,a9を求めるため,amを順に調べていく。

 

(@) m=3のとき 

 

 

 良い長方形の個数が最小になるように囲むとき,この図の場合は6個である。

 よって,  a3=6 ←どのように囲んでも最小で6個となったが,5個では囲めないことを示す必要がある。

                これがわからない・・。

 

(A) m=4のとき 

 

この図のように,a4=9である。←8個では囲めないことを示す必要がある。これもわからない。

 

いま,取り除くマスを1個追加したときに,分割する長方形が何個増えるのかを考える。

追加したマス目が,分割してある良い長方形のどの部分にくるのかで次の3通りの場合がある。

このように最大で3個増える場合がありうるので,以下a5a6,・・・は,3個ずつ増えていく。

       ↑ここがわからない。一番右の場合でも,4つの新しい長方形のどれかがこれまでの長方形に含まれてしまう

         ことがあれば,「3個増える」とは言い切れない。これを示す必要があるのですが,う〜〜ん,難しい。

よって,  a9a4+3×(9−4)=24

求める最小の整数nは,

       na9+4=24+4=28

(答) 28