厳冬の三伏峠山行記

 〈6月20日〉 今度こそ鳥海山へ登ろう。過去2回挑戦したが、ちょうど梅雨時。2回とも敗退。今回は6月。まだ東北地方は梅雨には入っていないが、何とか好天を期待していざ山形へ。
 登山口の鉾立には夕方到着。今夜の宿泊は登山口の鉾立山荘。基本的には山小屋だが、自炊で寝具も持参。で料金は超格安1人1350円。厨房使用料100円。山荘内もきれいで快適。夕飯食べながら管理人の方が昨日登ってきた時の写真をテレビ画面に写してくれる。花が咲き始めてきていてきれい。700枚くらい撮ってきたのを超駆け足で見せていただき、いろいろ情報も教えて頂く。
 山荘前の駐車場からは、日本海へ沈むきれいな日没が見られた。明日の好天を期待して早めに就寝。

 鉾立から望む日本海への落日
〈6月21日〉 3時に起床。駐車場ではもう出発する人がいる。ここからだとやはり早立ちして日帰りで登る人が多いようだ。朝食を済ませて5時ちょうど出発。今日は快晴だ。
 登山口登ってすぐの所に雪渓が残っていて、遠くこれから行く鳥海山が望める。雪渓が朝日に照らされてきれい。更に一登りすると展望台が。こんなに立派な展望台があるのを知っていれば、昨日夕方撮影に来れば良かった。奈曽谷渓谷を挟んで、白糸の滝、その向こうに雄大な鳥海山が広がりなかなかの絶景だ。
 歩きやすい広々とした登山道が終わると雪渓に入る。賽の河原から緩やかな傾斜を一登りで御浜小屋。意外とここまでは早く来られた。御浜小屋はこの時期まだ営業していないが、開放されていて宿泊することは出来る。山小屋と言うより神社の社務所のような内部で、なにか奉られている。
 ここで撮影タイム。御浜小屋周辺はハクサンイチゲが咲き誇り、解氷間近の鳥海湖と撮る物はいくらでもある。知らないうちにカメラマンも結構いる。飽きることなく小1時間撮り続けた。初めての場所なので、今ひとつベストアングルが分からないが、あちこち移動していろいろな場所から撮影する。それでもここはもう数十メートル下ったところにお花畑と鳥海山と鳥海湖がうまく収まる場所があった。下山時に発見。もちろんその時に撮影したが、この時撮りたかった。
 まだまだ撮りたいところはたくさんあるが先を急ぐ。七五三掛(シメカケ)という外輪と千蛇谷との分岐で大休止。昨日山荘の人に聞いた情報で登りは外輪を行く。千蛇谷コースはまだ残雪が多く、ずっと雪渓歩きになる。展望の良い尾根道を文珠岳、伏拝岳、行者岳と知らないうちにいくつものピークを越えて順調に高度を稼ぐ。平日だがさすが百名山。結構登山者がいる。
 御室に分岐する道を見落とし、七高山まで行ってしまう。最初ここが頂上かと思ったが、良く地図で現在地確認をしないといけない。反省(-_-)。すぐ先の分岐まで戻り、御室小屋を通り山頂へ。夏の最盛期にはこの辺は賑わう所だろう。御室小屋の裏の岩場を一気に登り、また一旦岩の間の洞窟のような狭い岩の間を通過して最後に岩場をもう一登りしてようやく山頂へ。岩に囲まれた山頂。展望はあるが、ちょっとイメージしていた山頂と違った。すぐ後を谷コースの雪渓をはずれて、藪こぎしてかなり苦労して登ってきた夫婦が到着。大変だったようだ。
 昼を済ませて下山開始。雪渓の雪が多く、どうも外輪の尾根を下山した方が良さそうとのことで、下山も同じ道へ。
途中までは順調に下ってきたが、再度花の咲いているところでは撮影タイム。午前中とは光線状態が違いまた良い感じだ。ちっとも下れない。かなり時間をかけてようやく御浜小屋へ。もう周辺は誰もいない。と思ったらやはりカメラマンが一人熱心に撮影していた。鳥海山はカメラマンにはかなり人気の山だ。写真集はかなりの数が出版されている。昨夜の鉾立山荘でも数冊の写真集が置いてあったし、知っている著名なカメラマンも鳥海山を題材に何冊も写真集を出している。鉾立山荘の隣の売店でも写真集や写真の販売をしていた。実際今回登って実感したのは「絵になる山」だと言うことだ。写真的には実に良い被写体だ。四季を通じて植物も豊富。更に登りやすい事も人気の秘密だろう。私も近くに住んでいれば足繁く通いたい山だ。
 少々疲れて鉾立山荘へ下山。ちょうど12時間の行程だった。下山して自販機で買ったコーラがうまかった。3回目にして念願の山頂を踏めて、しっかり撮影もできて大満足の山行となった。 


〈コースタイム〉鉾立山荘5:00御浜小屋7:00〜7:50七五三掛8:30〜8:50七高山11:00〜11:10
         新山12:00〜12:40七五三掛14:25御浜小屋15:30〜15:50鉾立山荘17:15



      御浜付近から望む鳥海山

       
       咲き始めたハクサンイチゲ
      

      鳥海湖の回りに咲き誇るハクサンイチゲ            千蛇谷雪渓と伏拝岳

        岩に囲まれた山頂
〈6月22日〉 昨夜は鳥海山下山後、鉾立から車で30分ほど移動。にかほ市にある湯ノ台温泉で宿泊。公営の温泉で、格安の宿泊料金で素朴な温泉宿にゆっくり休めて疲れもとれました。
 朝もゆっくり出発。今日にも東北地方は梅雨入りかと天気予報。予報通り今にも降り出しそうな天気。宿から15分ほどの所にある獅子ヶ鼻湿原へ。良く写真などでは紹介されていて、ブナの大木がある湿原だ。駐車場には大型バスも止まっていて結構観光客が来ている。
 いちばん奥にある日本一の大木と言われるブナの木“あがりこ大王”へ向かう。途中にも何本もブナの大木がある。もう少し早い時期ならブナの新緑がきれいだろう。しっとりとした林の中を歩くこと40分。あがりこ大王へ到着。数人のカメラマンが取り囲んで撮影中。その後もガイドに引き連れられた観光客が続々とやってくる。確かに日本一のブナの大木と言われるだけあって、大きいのだが、正直ちょっと何か物足りない。風格がないのかあ。などど思いながら途中の分岐まで戻り、今度は伏流水の湧き出る出壺に向かう。こちらは誰もいなかった。静かな森の中、鳥海山の雪解け水が数百年かかって、ここへ湧き出てきている清冽な水。ブナの林の清流。きれいな湿原でした。撮影に時間をかけすぎて、どしゃ降りになってしまった雨の中早足で車に戻りました。
 その後翌日の月山登山のため、月山高原ライン近くの北月山荘へ。当初ここのキャンプ場でテントの予定でしたが、大雨のため山荘へ泊まることに。それが正解。ここが実に良かった。昔の校舎を移築して、地元の人たちが熱意をもって経営している宿舎で、食べきれないほどのおいしい食事に大満足。ネマガリダケは各種調理方法で何本も頂きました。中心になってやっている方の情熱ある経営方針にも感激。趣味の写真も拝見。いつまでも続いて欲しい山荘です。ただし温泉は熱くて入れなかった。

       ブナの大木

         出壺

      あがりこ大王

       あがりこ大王
〈6月23日〉今日は月山へ。前日に用意しておいていただいた食事を部屋で済ませ、6時には宿を出発。当初月山高原ライン終点8合目から山頂往復の予定だったが、なんと月山高原ラインが通行止め。事前に情報収集してこなかったが、まさかまだ通行止めとは。仕方なくぐるっと反対側へ回って、月山スキー場から登ることに変更。山形自動車道から続く月山道路へ入り、月山スキー場へ。
 この日天気予報では晴天でかなり気温が上がり暑くなるとの予報。朝のうちは快晴だったが、月山スキー場へ着く頃には山にはだいぶ雲がかかってきている。だいぶ時間をロスしてしまったが、まだ今日のうちに頂上踏んで下山できる。すぐに準備して出発。まだスキー場上部は滑れて、結構スキー客が来ている。リフト乗り場付近は残雪と新雪がきれい。20分のリフト乗車で一気に標高1600mへ。ガスの中で最初ゲレンデがどこだか良く分からなかったが、ガスの切れ間から滑っている人たちが見えてきた。整備されたゲレンデではなくて、自然のままのゲレンデで、斜面をかなりトラバースして後は結構な急斜面をリフト乗り場まで戻るコースのようだ。途中にはコブコースがいくつか見えた。更に上部にはTバーリフトがあり、コブコースが何本か見えた。あまり一般向きではないようだが、かなりのスキー愛好家の皆さんにはおなじみのようだ。近くなら私も通うだろう。
 リフトを降りたらすごい風だ。雨も降り始めた。一旦休憩所へ逃げ込んで待機。カッパを着こんでちょっと様子を伺うが、雨風はともかく、真っ白の中全く行く方向さえもわからない。行けるところまでと言うことで出発する。スキー客が滑降開始する地点まで行って、その後は雪渓を登っていくのだが、ガスの中やはり行く方向さえも分からない。ますます天気は悪くなる様子。早々と撤退を決め、リフト周辺付近で花の撮影にする。何人か下山してきた人たちも悪天候で引き返してきたとのこと。やはりダメだったか。下りのリフトに乗り込み、今度はリフト乗り場付近で新緑の撮影。今日はちょっと不完全燃焼でした。

        月山スキー場

       リフト乗り場付近の新緑

   ひとこと