ATさん(仮名)からこんな依頼を受けた。
去年の4月にお見合いで知り合った彼と結婚する事を前提に知り合って2ヶ月半で一緒に暮らし始めたのですが(もちろんお互いの両親の了解の上です)、その1ヶ月半後の8月にもう嫌になったと言われて一方的に切り捨てられてしまいました。暮らし始めたその日に彼が会社で昇進できなかった事が分かりかなり落ち込んでました。それから二人の仲がおかしくなっていったように思います。付き合っていた時はものすごく熱烈で優しかったのにそれを思うと、今も彼の事が忘れられません。また風の便りで彼にもう彼女がいて結婚するかもという事を聞いてショックを受けました。
占って頂きたいのは、どうしてこんなことになってしまったのか、彼と現在の彼女はこのまま結婚してしまうのか、私と彼との復縁はありえないのか、ありえるとしたら何時どんな方法で、以上よろしくお願い致します。
正直言って、今回の件は、まず復縁はありえないだろうというところが個人的な所見です。
しかし未来は誰にもわかりません。
ATさんの願いが実現するのか、僕の所見は単なる偏見に過ぎないのか、それを確かめるためにカードをめくってみましょう。
あえて僕の意見は挟まずに、カードの示すままをお伝えします。その後の判断はATさんにおまかせいたします。
ケルト十字法で10枚のカードをめくります。
では、まず、現状を示すカード。左側の十字形、中央のカードをご覧ください。
「X 運命の輪」
その名の通り、彼との関係が運命的なものであることを示しています。
出会うべくして出会った。そう考えるのが当然ですが、同時に、別れるべくして別れたということも言えます。
運命的な関係であるから必ず結ばれて生涯を共にするとは限りません。
どんなに幸せな生涯を送ろうとも、いずれは「死」によって、どちらかが先に相手のもとを去らなければなりません。
今回の、ATさんと彼との関係も、たまたま別れが早く訪れたに過ぎないと思えば、けっきょくは、避けられない「運命」でしかなかったと認めざるを得ません。
どんなに否定しても、今は2人が別れていることは現実です。それが、「運命」なのでしょう。
その左のカードをご覧ください。2人の間にある障害を示すカードです。
「剣のクイーン」
女性を示すカード。
ここでは、ATさんの姿がそこに描かれています。
知的で、鋭い判断力を持っていますが、愛情表現はあまり得意ではありません。
愛情はとても深いものを持っています。
しかし、本当は楽しく過ごしたいのに、なぜか、不満や愚痴をぶつけてしまいます。
彼に悪いことをしたという気持ちはあるものの、はっきりとそれを自分の中でさえ認める事ができず、自分の立場を守るために、彼にプレッシャーを与え続けてしまいます。
ATさんが下手に出て、彼を持ち上げるといったことは少ないかと思います。
知的でプライドが高いゆえか、自分の非を認めることを恐れるので、心から彼に謝ることはないでしょう。
そのような、強い態度のATさんとの生活には、彼はかなりのストレスを感じていたはずです。
そのストレスのせいで、ATさんに対して純粋な愛情を注ぐだけの心の余裕は生まれなかったことでしょう。
2人が一緒に暮らすことで、悪循環に拍車がかかり、わずか1ヶ月半という短い同棲期間で別れを迎えてしまったのでしょう。
当然、仕事での不信も原因としては考えられますが、このカードは、ATさんの方にあった問題を強調しています。
彼のATさんに対する気持ちを示すカードがあります。「運命の輪」の上のカードをご覧ください。
「XVII 星」
良い思い出も、悪い思い出も、すべて忘れ去りたいという願い。
かなりの未練を持っているようですが、おそらく、彼の心の中ではけじめがついているのでしょう。
努力してATさんのことを忘れようとしています。
2人が共有した思い出は、彼にとってもATさんが思っているのと同じくらい大切なものですが、彼は新しい未来のために、過去を忘れ去ろうとしています。
そんな彼の気持ちを引き止めるのは、とても難しいでしょう。
彼の潜在意識。「運命の輪」の下のカードをご覧ください。
「カップの9」
彼は「幸せ」を求めています。不幸や苦痛、苦労を望んでいません。
おそらく、ATさんとの関係には「幸せ」を見出せなかったのでしょう。
ATさんと別れ、新しい未来へ向かうことは、自分にとって幸せなことだと確信しています。
もちろん、これは彼の偏見である可能性は十分あります。
しかし、彼は自分を信じています。
それはまるで、宗教的で、幸福になることが自分の義務で、そのために自分は最善の努力をしているのだと信じています。
やや自己中心的な考え方がありますが、ATさんは、そんな彼の考え方の犠牲になってしまったのかもしれません。
実際に、ATさんは幸せになることに対してあまり積極的ではなさそうです。
それは、後のカードにとても色濃く示されているので、その時によく自分自身を見つめなおしてみましょう。
「運命の輪」の右側のカードをご覧ください。過去を示します。
「棒の2」
婚約や結婚を暗示させるカードです。
それは、過去における運命の一つで、やはり、本来は2人は結婚すべき関係にあったのかもしれません。
ただ、残念なことに、このカードは未来に示されたのではなく、過ぎ去ったものとして示されてしまいました。
2人が結婚を前提に結ばれる最大のチャンスを逃してしまったのです。
過去はとり返しはつきません。そのことは忘れて、未来に希望を持つしかないでしょう。
1度逃したからといって、未来の希望を否定するものではありません。
ただ、同じ事の繰り返しではなく、未来にあるのは、あくまで、「新しいチャンス」です。
振り返らずに、真っ直ぐ未来を見ましょう。
では、その未来を示すカードはどうでしょう。一番左のカードをご覧ください。
「カップのクイーン」
先ほどの「剣のクイーン」と同様に、ここでも描かれた女性は、ATさんを示します。
しかし、不幸なことに、ATさんが見つめているのは、未来の希望ではなく、過去の思い出ばかり。
どうしても、彼との関係が「運命的である」ということにこだわってしまいます。
そのこだわりが、心の中の想いだけを膨らませ、現実に対して盲目になってしまいます。
過去の性格のきつい部分はなくなり、だいぶ性格は丸くなって、彼への愛情はどんどん深まって行きます。
それはとても良いことなので、ATさんにとっては大きな進歩です。
その時、もう一度彼と出会うことになれば、2人はもっと幸せな関係を築けるのでしょうが、現実にはなかなか難しそうです。
未来には、2人がもう一度出会えそうな暗示が出ていないのです。
残りの4枚のカードは、さらに辛い現実を示しています。
それでも、わずかな希望のかけらを見つけ出すために、残りのカードを読んで行きましょう。
右側に縦に並んだ4枚のカードを、下から順番に見て行きます。
まずは、一番下のカードをご覧ください。ATさんの立場を示しています。
「剣の9」
深い悲しみと後悔。
ATさんが、幸せになることに対して積極的でないことを示すカードのうちの1枚です。
過去の失敗を嘆き、不幸な自分を悔やみます。それは過去にとらわれるからです。
今のATさんは決して不幸ではありませんし、未来はもっと明るいはずです。
別れてしまったことを悔やむのではなく、これからの運命を受け入れるいさぎよさを持ちましょう。
その上のカード。周囲を示します。
「剣の10」
絶望の暗示。
それは、今のATさんが、彼の不幸を願っていることをほのめかします。
自分と同じように悲しめばいいのにと、ほんの少し、心の奥で思っています。
彼が新しい恋人を見つけ、結婚し、幸せな家庭を築いて行く姿が許せません。
過去を振り切れないのと同時に、手の届かぬ彼への嫉妬までが、ATさんを更に苦しめることになるでしょう。
さらにその上のカード。変化を示します。
「カップの8」
あきらめ。
ATさんは、彼との復縁のために努力をする前に、彼をあきらめることになるでしょう。
どうしても気持ちと現実との接点をつかみきれず、我慢の限界が来て、切れてしまうのです。
想いが強いだけに、それは悲しい思い出としていつまでも心に残ることでしょう。
どんな時でも彼のことが心からはなれることはないでしょうが、それでも、ようやく彼のいない現実を受け入れられるようになります。
彼に対するあきらめは、現実に対する前向きな姿勢となるでしょう。
ATさんにも普通の生活が戻ってきそうです。
一番上のカード。最終結果。
「II 女司祭長」
過去のシナリオ、運命、思い出といったものを胸に秘め、過去と共にある新しい未来を歩み始めます。
やはりそこには彼と共にある未来は予言されていませんが、彼が選んだ「星」の未来とはまったく別の生き方をATさんは選びます。
やがては、ATさんも良い男性を見つけて、結婚するでしょうが、彼との思い出があるからこそ、ATさんには幸せな人生が送れるのです。
その思い出に支えられ、強く生きて行く事ができるでしょう。
幸せな人生を手にしたときに、その意味が分かると思います。
彼と過ごした時間は、「運命の輪」が与えてくれた、ATさんの「お守り」のようなものだったのです。
忘れることなく、大切に胸の内にしまっておきましょう。
以上で10枚すべてのカードを読み終わりました。
まるで選択のよちのない明確な結論に達してしまったので、それでよかったのか僕にもわかりませんが、
納得が行かなければすべてをうのみにする必要はありません。
ATさんなりに解釈して、少しでもお役に立てていただければ幸いです。
未来を切り開くための小さなヒントとしてご活用ください。