秘密厳守 - 剣の5


占いの依頼で相談者が占い師に伝える情報は、いわゆる「個人情報」も含んでいるわけで、法律的な問題も絡んで最近頻繁にメディア上で見聞きする言葉ですね。

メディアで報じられる言葉というのは一人歩きしがちなもので、何かというと、法律的なことなどよく知りもしない一般人までが「個人情報、個人情報」と連呼しております。自分のプライバシーは気になるものですが、「個人情報」という言葉を使えば、自分は法的に守られるのだと勘違いしないよう気をつけてもらいたいですね。自分を守るのはそんな4文字程度の言葉ではなくて、あくまで、自分の行動しだいですから。

何が言いたいのかというと、個人情報を悪用しようと思っている人に対して、個人情報を教えてしまってから「個人情報を守ってください」などとお願いしても遅いということです。こちらに弁護士などがいて、法的に対処できる立場であるなら別ですが、相手は、素人に何を言われようが、一度得た情報は手放さないでしょう。口先では「秘密厳守しますよ」などと言っていても、裏ではどんどん情報は流されているでしょう。

そういう意味で、占いの依頼をするときは慎重にならなければなりません。例えば、姓名判断をしてもらおうと思うなら匿名で依頼はできないでしょう。占星術系であれば、西洋系・東洋系いずれの場合でも、生年月日を伝えなければ始まりません。西洋占星術では生まれた時刻や場所まで必要なこともあります。電話鑑定なら電話番号の通知は必要かもしれないし、メール鑑定なら、当然ながら、メールアドレスを伝えなければどうにもなりません。支払いの際にはクレジットカードの番号が必要になることもありますね。

最近ではWebページのメールフォームからこれらの情報を送信するときにSSLなどの暗号化を行っているサイトも増えてきましたが、暗号化するのは単に通信系路上でのことであって、その情報を受け取る相手が悪質な業者であれば何の意味もありません。SSLだから安心というわけではないのです。

多くの占いサイトには「秘密厳守します」とか「個人情報は絶対に漏らしません」などと明記してありますが、そのような言葉を見て本当に安心できますか?最初にも書きましたが、「秘密厳守」という言葉を見ただけで「このサイトは安心だ」と思い込んでしまいがちなので気をつけなければなりません。むしろ、依頼者をそのような言葉で安心させて個人情報を引き出そうとする罠なのかもしれないのです。

私は、自分がそういう疑り深い性格なので、逆に相談者に安心してもらうには、自分のサイトには「秘密厳守」とか「個人情報」などといった呪文めいた言葉は書かないようにした方がいいのではと思っています。占い師が相談者の秘密を守るのは「当然」のことであって、あえて強調して言うようなことではないと思うのです。そのような言葉を見ると、かえって不安が掻き立てられて、相談ごとにも気持ちが集中できなくなってしまいませんか?

前にも「権威」ということを書きましたが、「秘密厳守」、「個人情報」、「SSL」などといった言葉は、人を盲目にさせる権威的な言葉です。相談者に安心してもらいたいからという善意であっても、そのような言葉はあまり使わないほうがいいのではないでしょうか。

もしかして突っ込みたくなる人もいると思うのであらかじめ自分で言っておきますが、「占い師」という肩書きも一つの権威です。占い師が占い師を名乗らなかったら何も始まらないので、これだけは使わせてもらいます。何も全ての権威的なものを否定しなければならないというわけではありませんので。

ともかく、「個人情報」を守るのは自分の責任であって、相手に何を言っても無意味なのです。占いの依頼をするときにも、十分気をつけてくださいね。

剣の5タロットカードは、「剣の5」です。だまされた、と思ったときにはもう遅いですよ。


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