がんばれ - VIII 力


私は、占いの中ではあまり「がんばれ」という言葉を使いません。意識的に使うのを避けているような感じです。

元気がない人にとって、そういう応援の言葉はうれしいものかもしれません。そういった言葉で十分元気づけられる人もいると思います。

ただ、中にはそういう言葉が逆効果な人もいます。

ある人は、今までも自分なりにがんばってきて、それでダメだから相談しに来たのに、その上「がんばって」などと言われたら、まるで自分ががんばってないと言われたようで腹ただしく感じるかもしれません。

あるいは別の人は、がんばる元気すらなくて相談しに来たのだから、「がんばれ」という言葉ほどむなしい言葉はないと感じるかもしれません。そんな占い師の言葉は、あまりにも「無責任」だと思うでしょう。その人は、「がんばれ」という言葉以外のものを求めて占い師のところに来たのです。

なんでもポジティブシンキングで相談者にアドバイスすれば問題が解決するというわけではないと思います。相談者がネガティブな状態なら、占い結果がネガティブになることは当然のことだし、それをそのまま伝えることは心理的共鳴によって、癒しにつながることもあります。

自殺をしたいと思っている人に、「がんばって生きてね」と言う事は、非常に危険なことです。その人がもし、自分が周りに理解されないことを悩んで自殺を考えていたのだとしたら、「がんばって」という言葉は、自分の「死にたい」という気持ちを理解されなかったと受け止められ、結果的に「がんばって」という言葉が、「死ね」という言葉にすら聞こえ、自殺を後押ししてしまうことになりかねません。これは、責任重大です。

ここまではケースバイケースで、相手に応じて対処すればいいことですが、私の場合、占い師という立場上の理由から、「がんばって」という言葉を使いたくないというのもあります。人の生き方はその人の自由です。占いはある程度その生き方を限定することになるものなのかもしれませんが、その上、相談者に「がんばる」という生き方を強制しても良いのだろうかと思うのです。がんばらない生き方も一つの選択しだし、その方が結果的に幸せになれるかもしれない。がんばるかどうかというところまでは、占い師が口を出すべきことではないような気がするのです。

人には最もその人らしい生き方をしてほしい。私はそう思うから、「がんばれ」という言葉がなかなか出てこないのです。もちろん、その人が「がんばれ」という言葉を望んでいると感じたときには、喜んで「がんばれ」と言いたいと思っています。

VIII 力

VIII 力

ヘラクレスならがんばってライオンと戦うでしょうが、このカードの女性は、そんなにがんばらなくてもライオンを従えています。ライオンだって、癒されたいのでしょう。


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