雨の中 - 剣の3


図書館で借りた本の期限は今日。レンタルビデオ屋で借りたDVDの期限も今日。食料品も底をついているのでお買い物に出かけなければなりません。しかし、午後になって出かけようと思ったら雨が降り出してきました。雨は自転車男の天敵です。こんな日には出かけたくないのですが、歩いていくには遠すぎるし、自動車はありません。免許もありませんが。

幸いそんなに風は強くなかったので、傘をさして出かけることにしました。もちろん、自転車に乗ってです。

ところが、図書館までの道のり約5キロの半分くらいまで行ったところで、後ろのタイヤがパンクしてしまったのです。よりによってこんな日に・・・。

とりあえず自転車を降りて、自転車屋さんまで押して歩くことにしたのですが、道路は雨水があふれ、布でできた靴にはどんどん水がしみてきます。自転車には乗りますが、普段はほとんど歩かないので、1年近く履いている靴なのに、実はまだ足に慣れていません。歩いているとだんだん足が痛くなってきました。(後で見たら、足の皮がふやけてぼろぼろでした。)

自転車屋さんにやっとたどり着いたと思ったら、こんな日に限ってお休み。あきらめて家に帰ろうにも、ここから自転車を押して帰るにはあまりにも遠い道のりです。無理して外出したことをひどく後悔しましたが、どうにもなりません。仕方なく、他の自転車屋さんを探しながら図書館の方向に向かいました。

図書館についた時点で既にへとへとだったので、とりあえず本を返してから、そのまま図書館の駐輪場に自転車を置いて、身軽な状態で近くの商店街を探してみることにしました。昔は体力だけが自慢の筋肉男だったのですが、今はほとんど部屋にこもりっきりのもやし男です。既に体力の限界が来ていました。

高校を卒業するまではこの町で暮らしていたわりには、意外と土地勘がないというか、いざ自転車屋さんはと思っても、どこにあるのか検討もつきません。そもそも当時は自転車すらほとんど乗ったことがなくて、交通手段の基本は自分の足だったのです。片道約7キロの道を毎日走って登校していたくらいです。自転車屋さんなどには興味がなかったと思います。

雨が降る中、痛む足を引きずりながらゾンビのように歩き回って、やっとの思いで自転車屋さんを見つけ、図書館に置いたままの自転車を取りに戻り、自転車屋さんまで押していきました。

「パンクしちゃったんで、直してもらえます?」

「そこに置いといて、1時間くらいでまた来てよ」と店のオヤジ。

「いくらぐらいで直せますか?」と聞くと、親父はタイヤをつまんで、

「こりゃ交換だな・・・4500円だね。」

現在所持金5000円。今日の買い物代です。4500円も取られたら何も買えなくなってしまいます。

「応急処置でかまわないんで、安くできませんか?」

「じゃあ、1300円でやっとくよ」って・・・。

自転車を預けて店を出ると、あまりにつかれきっていたので、マクドナルドかどっかで休憩がてらエネルギー補給をしようかと思ったのですが、歩けど歩けど、なぜか、この商店街にはファーストフード店が見当たりません。結局、1時間歩き回っただけで自転車屋さんに戻りました。1300円でもちゃんと修理は完了しています。4500円なんてぼったくりです。

その後は、ビデオを返し、買い物をして、何事もなく、無事家に帰りました。

もう、ふんだりけったりで、完全に疲れきっていました。しかし、実は、パンクしたとき、自転車を押しながら、「もしかしてこのハプニングがきっかけで何かいい恋愛のチャンスが訪れるかもしれない」なんて甘い期待を抱いていたりしたのですが、それらしいものは一切なく、家に帰り着いてしまいました。

もう少しちゃんと占い結果を読んでから出かければよかったかなぁとか思う、自転車男でありました。

剣の3タロットカードは「剣の3」です。カードの中にも雨が降っていますね。ハートはタイヤなら、そこに剣が突き刺さってパンクを表しています。ついでに恋愛運もいまいち。まさに、今日の出来事そのままのカードです。


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