ある外国人の友人が、私が占いができるということを知って、占ってほしいと言ってきました。友人からの依頼なので、仕事として受けたわけではありません。彼の悩みは、3 年前に亡くなった奥さんのことでした。
その日はちょうど 8 月 15 日。お盆ですが、たまたま奥さんの命日でもあったのです。彼(Aさんとしておきます)は日本のお盆のことを知りませんでしたが、この時期には死者の霊が戻ってくるのだと説明してやりました。彼は涙を流しながら、それなら彼女(Cさんとしておきます)も戻ってくるのかと聞きます。私も、そうかもしれないと言いながら、今なら、彼女の霊に直接話を聞くことができるかもしれないと思いました。そこで、タロットカードを使った降霊術のような形の占いはできないだろうかと考えたのです。霊と直接交流しながら占うのは私も初めてでしたが、友人の頼みでもあったので、試しにやってみることにしました。
まずは、AさんからCさんに伝えたいことを話してもらいました。(かたことなのは、慣れない日本語でしゃべったため。)
Cさん、何で二人、別れた。私は今日、すごくさみしい。ごめんねCさん。私は悪いことばかりしている。でもあなたのこと、娘のこと、絶対に忘れない。約束します。
そして、私も英語交じりの日本語でCさんに向かって話しかけます。
私は、Aさんの奥さんの spirit が、今、Aさんと私の近くまで来ていると信じています。もしかしたら、Cさんは今、この部屋の中でAさんの事を見ているのかもしれませんね。私はこれから、78 枚のタロットカードをシャッフルし、10 枚のカードを抜き出します。私はCさんの spirit にお願いします。もし、CさんからAさんに伝えたいことがあれば、あなたの message が込められたカードを私が抜き出すように導いてください。私は、抜き出したカードからCさんの message を読み取って、Aさんに伝えます。
そのようにして選び出された 10 枚のカードを、ケルト十字法にしたがって並べました。1 枚目のカードから順番に、Cさんからの message を reading してゆきます。
1 枚目のカードはCさんからAさんへの
2 枚目のカードはCさんが困っていることです。「
Four
of Cups 」というカードが出ています。このカードには男の人が一人描かれています。男の人は
1 本の
3 枚目のカードはCさんの気持ちを示しています。「 Three of Swords 」が出ています。このカードは「悲しみ」という意味です。Cさんはとても悲しくて、泣いているのです。
4 枚目のカードはCさんの悲しみの理由を示しています。「 Page of Swords 」が出ています。「 Page 」の意味は「子供(娘)」です。Cさんは娘のことが心配で泣いているのかもしれません。
5 枚目のカードは
6 枚目のカードは未来を示します。「
Six
of Cups
」が出ています。子供がいて、その向こうに兵隊さんがいるのが見えますね。このカードには「子供を
7 枚目のカードはAさんの今の状態を示しています。「 Four of Wands 」が出ています。地面に立てられた 4 本の棒が描かれています。Aさんには命があって、体があって、地上で生きています。Cさんは、Aさんに自分の命(Aさんの命) を大切にしてもらいたいと思っています。
8 枚目のカードはCさんの今の状態を示しています。「
Eight
of Wands 」が出ています。このカードには、空を飛ぶ
8 本の
9 枚目のカードはAさんやCさんが受け入れなければならない現実を示します。「
Ten
of Swords 」が出ています。夜明け前の夜の暗闇で、背中に
10 本の
10 枚目のカードはCさんが最後に言いたいことです。「 Five of Pentacles 」が出ています。冷たい雪が降っている街の中、あったかい家の中からもれてくる、窓辺の光の外に 2 人の人物が歩いています。その 2 人は、Aさんと娘のことなのでしょう。地上で生きることは、冷たい雪の中を歩くように辛いことかもしれませんが、Cさんの spirit は、いつでも 2 人にあったかい光を降り注ぎながら見守ってくれています。そして、いつの日かきっと、3 人で一緒にあったかい家の中(それは天国にあるのかもしれないし、新しく生まれ変わったときの新しい生活のことかもしれませんが……)で楽しく暮らしたいと、Cさんは願っているのでしょう。
これで 10 枚のカードに込められたCさんからの message はすべて読み終わりました。Aさんにうまく伝えられたなら幸いです。
こんな感じで、霊感的な占いもタロットでできるということがわかり、そのような依頼も時には受けるようになりました。それでも、やはりそういった考え方に偏るのは危険なので、常にニュートラルな姿勢を忘れないよう、みなさんも気をつけてくださいね。
占いは、宗教(霊感)と、学問(深層心理学など)の中間的な立場にあるのではないかと思います。霊感に頼りすぎてもダメ。科学的に考えすぎてもダメ。全体をバランスよく見渡すことで、初めて真理が見えてきます。