グレイ色の空
重い雲が空を隠している

新しい真っ白のクルマ
遠く海へと続く長い道

知らない街の小さな喫茶店

誰もいない静かな店に
コーヒーの香ばしい薫りが漂っている

窓辺に座る僕たち
二人は今にも泣き出しそうな空を見上げている

「これじゃ、海に着く前に降り出しそうだ」

少し恨めしそうに見上げる僕に
彼女は呟いた

「覚えている? 私達が出逢った日
 今日と同じように雨が降り出しそうな天気だったのよ」

彼女は僕を見つめ
にっこりと微笑んだ

「その日から、私はこんな天気が大好きになったの」


カラン


アイスコーヒーの氷が退屈そうに音をたてた

「海、見に行こうか」

空を見上げながら呟く僕に
彼女が嬉しそうに微笑んだ

今にも泣き出しそうな空
こんな天気も悪くない










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