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「エタニティ」 彼女はそう呼ばれていた。 雪のような白い肌。 蜂蜜のような金色の髪。 深い海の蒼い瞳。 微笑みかける唇。 永遠の幸せを願いそう呼ばれていた。 彼女は硝子越しに行き交う人々を見つめていた。 その中に彼女を見つめる二つの双眸。 その日から彼女は彼女を見つめていた若い夫婦の子供になった。 平穏で幸せな日々が続く。 10年・・・20年・・・そして、50年。 世界も、そこから見える景色も変わり、 若い夫婦もいつの間にか老いていった。 しかし、彼女は出逢った頃のまま。 老いた夫婦となった父と母に優しく微笑みかけている。 哀しみは突然やってきた。 優しく微笑んでいてくれた父が逝き、 その数ヶ月後、 毎日膝の上に乗せ金色の髪をとかしてくれていた 母が父を追うように足早に去っていった。 私をただ一人残して。 永遠の幸せなんて誰が決めたの? 出来ることならば永遠の鎖から私を解き放して。 彼女は「エタニティ」と呼ばれていた。 彼女は今日も硝子越しに行き交う人々を見つめていた。 口元に永遠の微笑を湛えながら。 |