私は
人には見えないモノが見える

少し薄暗い路地に
夜の公園に

寂しい場所も私には賑やかに見える

緑と赤の光が街中に溢れるこの時期
彼らは少し居心地が悪そう
煌びやかに飾り立てた公園を抜けて
いつもよりも人々が溢れる街を歩く

白い吐息
明るい夜の空

「・・・・?」

見上げた夜空に何かが通り過ぎる

「白と黒の・・・・?」

緑と赤の灯りに飾り立てられた大きな鉄塔
鳥が翼を休めるように舞い降りる

私は惹きつけられるように歩き出した

「珍しいな、お前」

鉄塔の上から声が聞こえる

鉄塔に座る二人の影

「・・天使・・・?」

緑と赤の光に染まる白い翼
輝く金色の髪を鬱陶しそうに掻き上げる

対照的な黒い翼
長い漆黒の髪

「・・・黒い・・・天使?」

金色の髪の天使は
白い翼を羽ばたかせながらゆっくりと舞い降りる

「汚れのない透明な輝き」

後を追うように黒い翼を持つ天使も舞い降りた

「そうだね、眩しいくらい」

黒い双眸は優しい微笑みで私を見つめている
包み込むような夜の瞳

「・・・本当にいるんだ」

聖なる青い瞳と優しい夜の瞳
純白の翼と漆黒の翼
一対の天使たち

白い吐息が零れる

「人間は成長するに連れて見えている世界に境界線を作る。
 見えるモノと見ないモノ。
 いつでも側にいるのに、見ようとしないだけだ。
 ・・・だが、お前は少し違う」

フワリ
空から真っ白な結晶が舞い降りる

「・・・・雪?」

真っ白な雪は次第に激しくなり
吹雪のように視界を遮った

「・・・良いクリスマスを」

遠くの方から微かに優しい声が聞こえる

「まっ、待って・・」

雪がフワリと舞い降りる
その中に白と黒のの羽根が見えた気がした










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