1度目は偶然
2度目は?

真昼の月が空に高く登る頃
街のざわめきの中
彼女に出逢う

長い黒髪の背の高い彼女

肩と肩が触れ合い彼女が微笑む
風に揺れる彼女の髪から5月の薫りがした

心臓が高らかに鐘を鳴らしている
どこかの国の信者の様に
聖母マリアの微笑みが俺の心臓を射抜いていった

彼女を振り向かせようと
髪型を変え、色を変える

彼女の薫りに負けまいと
香りを体にふりかける

まるで
雄鳥が雌鳥にディスプレイをしている様だと
友達が笑った

知らないのかい?
1度目は偶然
2度目の必然は
自らつくるものなんだぜ?

すれ違う
聖母マリアは
全ての者たち平等に愛を注ぐ

彼女に辿り着く道のりは遠く厳しい

公園で求愛ダンスに疲れた雄鳥が一羽
元の姿でベンチに座り
空に浮かぶ真昼の月を仰ぎ見る

1度目は偶然
2度目も偶然
そんな事をぼんやり考えた

ベンチの隣に
聖母マリア
俺だけに微笑んでいる

「やっと、貴方に再会したわ」

彼女の長い黒髪から5月の薫りがした

人生なんてこんなもんさ
そうだろ?









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