□ prologue □


氷と共に生きてきた惑星があった。
その惑星の名をユリアスと言う。

高度な科学技術を持つ氷の惑星は、その科学力で氷の進行を抑えてきたが、
突然世界を覆い始めた氷になすすべもなく宮殿を、街を、そして栄えすぎた文明をも飲み込んで行った。

「早くお行きなさい・・・氷に捕まってしまう前に・・・」
冷気に包まれた宮殿の中に一人の女性がたたずむ・・・その女性の体は氷が胸の位置まで包み、少しずつ上へと被っていく。
その女性へ必死に手を延ばそうとする若者、それを止める若者。
宮殿の中、手を延ばす若者の声が響く。
「しかしっっ母上っっ!」
ユリアス人の特徴ともいえる暗色の髪、左右の色が違う瞳、そして耳に伸びる鳥の羽を思わせる白く長い羽根。
その耳の羽根にも氷は順々に進んでいく。
母と呼ばれた長い漆黒の髪を持つ女性は、青と紫の瞳から流れる涙を拭こうともせずそっと、微笑んだ。
「・・・ユリアスを頼みます・・・シキ」
「かしこまりました・・・女王」

そして、氷と共に生きてきた世界は栄えた文明と共に氷に包まれた。

 

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