「占ってやろう」

彼は突然私の前に現れてこう言った
家路に向かう人々の並は私を気にとめる事無く通り過ぎていく
街の雑踏の中、ゼブラゾーンの真ん中で彼と私は立ち止まっている
「占ってやろう。あんたの未来を」

闇にも映える金色の髪
氷の様に冷たい青色の瞳
夜が近づく薄暗い街に一筋のヒカリ
歩道用の信号が急かすように点滅している

足早に渡る人々の並を少し見つめて遠慮気味に彼に振り向く
「呼べよ。いつでも現れてやる」
目の前に居たはずの彼は声だけを残し姿を消していた


友達に聞いた小さなウワサ
相手を選ぶ美しい占い師
人の未来を占っては夜の街に姿を隠す
彼の正体を誰も知らない


選ばれた人は口々に囁いた

悪魔のような天使
天使のような悪魔

未来の真実だけを伝える占い師


次の夜道を歩くその先にスーツを着た男と金色の髪の占い師
男は占い師の瞳を見つめて怯えるように呟いた
「お前は悪魔だ」
そのまま逃げるように走り去る

彼は走り去る男の後ろ姿を見送りながら
気付いていたように私の方に振り返る

夜のネオンに染まる金色の髪
彼は金色の髪を掻き上げる
硝子細工のような美しい姿

「俺は真実を映す鏡。あんた達の心が未来を映し出す」
少し伏せ目がちな青い瞳に私が映る
「占ってやろう。あんたの未来を。あんたには俺がどんな姿で映っている?」

私は彼に小さく呟いた
「私は未来なんて視えなくていいの。私は未来よりも今の方が大事だから」
無表情の彼が小さく微笑んだ気がした

突然彼の周りに柔らかな風が生まれる
それは次第に大きくなり彼の美しい金色の髪が大きく揺れる

そして彼の背中に見える純白の翼

美しい純白の翼が大きく羽ばたき彼はゆっくりと浮かび上がる
夜のネオンよりもキラキラと輝く金色の髪
優しい青色の瞳

「あんたの未来はヒカリ。最高に輝いているぜ」
彼は私の耳元で優しく囁いた




題名:ヒカリ
テーマ:天使

この作品は もぞもぞのへや のレイストリンさまへ
6000hitの記念数字を踏んで頂いた記念です
テーマは「天使」だったのですが、少し天使から離れているような(^^;
カッコイイ金髪碧眼の天使さんのイメージなのですが、、、いかがなものでしょうか?
レイストリンさま、いつもいつもお越し頂いて本当にありがとうございます
これからも、どうぞヨロシクお願いします〜



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