北村宗彬氏の英語教育論

Mr. Kitamura Muneyoshi(65+10) is a professor emeritus from Keio University.

西暦2001年4月15日


退職してませーん。

英語は「実技」。

英語の評価は「うまい」か「へた」か。

習字に似ている。

日本語には、「数学がうまい」も「音楽がうまい」も「体育がうまい」もない!

ただ「計算がうまい」や「ギターがうまい」や「サッカーがうまい」があるだけ。

「英語」という教科の位置づけは特殊。「図工」「習字」長じては「製図」と同じ部類。

「できる、けど下手だ」は、誉め言葉じゃない。言われたくない。うまくならなきゃ。

うまくなりたい。それには、なにより「音」の習学だ。

言語なんだから、用が足せなきゃ意味がない!

書けるだけで話せなければ、対面して一番はやく用が足せるときに、困ってしまう!

発音の筋がよければ、綴りなんて、知らなくても軽く当ててしまえるんだから。

英語の基礎は「音節」感覚。Rhythm が土台。

柱=動詞。梁=助動詞。壁=目的語。床=名詞。天井=形容詞。

英語では、一音節でも文になる! 日本語「やれ。」英語‘run.’この感覚がないと、ちゃんと聞き取りができない!

ネイティヴが日本人に教えるときの注意。ペラペラすぎる人は、ときに‘タメ’が足りずに、相手に正確な発音を‘印象づけ’しきれていないときがある。

嘘八百を教えられてたりするんですからね。

「ザ」も「ア」も撲滅せよ。

「r」が「l」より、よーっぽど大事。口を四方八方に突き出して舌を巻く余裕を作り云々。

発音が、綴りより、よーっぽど大事。

点数の差が中1じゃつかないから綴りをちょっと間違えたときに大減点? テストに音声入れればいいんですよ。発音させてみれば、てきめんに点差が付く。

どんな単語にも強形と弱形がある(イントネイションのどのあたりに乗っているかで発音が違うことがふつう)のは基本です。知っているかな?

ジャンプでリズムを教えるのなら、これだけは止めろ「ワンジャンプひと単語」。フレーズ感覚が破壊される。

母音。

子音。

「train」「little」を「ぉ」抜きで発音できるようにする。と、聴き取れるようになる。

「ツ」が英米人の苦手であるのと同様に、「ヅ」が日本人にはつらい。'carts'と'cards'が区別して言えるような訓練が必要。

音声学や音声認識技術では区別が必要だろうが、日本人が通じる英語を使えるように教えるのには、

まちがえてもいい。気付くのならば。

練習なんだから、完璧になるまで「待つ」必要など、どこにもない。

「え?」っていう聞き直しは1回まで。現実がそうだから、授業でもそうする。1回勝負まではしない。特に日本人の初学者には、それは酷だから。

知らない単語も言われても書ける。これはうれしいよ。でも「あったりまえじゃん」「まちがえたっていいの」くらいにクールで通す(ムチ)。あめあめあめあめあめあめムチ。くらいで。

従来の予習のやり方を逆転させよ!

好ましい予習は、

  1. まずネイティヴの言っていることを聴き、大意をつかむ。
  2. それを(口まねででも)自分でも言ってみる。
  3. 言ったことを書いてみて、内容と文法のつじつまを合わせる努力をする(完璧を期する必要なし)。
    ‘聴いたことを’書留めているうちは、ブンにならないはず!
  4. テキストがあれば、見て確認、間違いはマーカーや赤ペンで修正。
の順。

試験勉強用にテキストをさらうときは、ノートは2ページ単位で使う。さいしょ見開きの左ページに、テキストの和訳を一行おきに書き、毎日反復練習をする準備をする。右ページは、本番試験の直前に左ページの和文を見て英語を書く。元のテキストを比べて、まず間違いがあれば正し、正しい英文を覚えて試験に臨む。

授業用には別のノートを使うが、授業には持ってこない。授業を受けたときに英文を暗記し、帰宅したらそのノートに1行おきに「そら」で書く。(中学のテキストなら量が少ないから、非現実的でもないはず。)

2拍子。これが英語っぽさを醸し出す秘訣。

早くしゃべるな。甲高くしゃべるな。落ち着いた声で、ゆったりとしゃべれば、しんどくない。日本語のしゃべりより、音程を「五度」落としていい。

教えるほうも、低い声の人が教えないと、「ため」と「パンチ」が効かない!

実地では「library」や「February」や「laboratory」や「secretary」の‘重なるr’の一つ目が吹っ飛んじゃったり、「three months」が「three mon'ts'」になったり、「something」が「som'p'thing」になったりするんだよね。おもしろいでしょ。

余談。「nice guy」「nice lady」の「nice」は、ときと場合によっては、「都合のいい」というニュアンス含みになるので注意!


痩せたんですよ。

「目黒」「乗り換え」別々に言うのと、「目黒乗り換え」つなげていうのとでは、イントネイションが逆転する!

これには簡単な法則が立たない! 「音節が長くなると、音程low-highとなる *ことが多い*」くらいのことが法則化できるだけ!

三単現。有声とか無声とかむずかしいこといわない。「ス」か「ズ」か「イズ」だ。つづりかたは、うしろに「s」か「es」だ。さぁやってみろ、てな具合で充分。

今の教育では、帰国子女の英語能力は潰されちゃっている! 授業フケるのを許したくないんなら、「助手」に指名してしまえばいい。音感が教師よりいいやつも同様。おだてあげて。(で、全員分の監督の手間を軽減する;-)

本国人じゃないんだもん。night[nait]は'n-i-t'でいいじゃん。…だめ? knightがあるって?

「インド人の通訳を頼まれたら、訛りが… 面目丸つぶれ。」「インド人には、スコットランド人が教えたんで、訛りがきついんですよ。」


思ったこと

身近にバカなことをやったヤツがいたら、そのバカなことを英語で書けばいい。身近な教材作り。



戻る

SUGIHARA Hiroshi