貧しい生活が続く4
短気な夫は暴力ふるい、ある時には顔を滅多打ちにされて、黒あざでみるかげもないありさまとなり、もう我慢もこれまでとなり、姑に自分の気持ちを話すと分ってくれました。おしろいであざをかくして、仕度をしておりました。漸く其のころ部屋に電気をつけてくれまして、工事屋が入っていました。お里は飯沼かいと聞くので、何でと聞くと、お宅の娘がね、お母さんが喧嘩をして、顔が真っ黒になってしまったので、お化粧をして飯沼いくところと話してくれたと言うのです。真実行くところは他にはなかったのです。其の日の夕方、主人は大怪我をして帰ってきました。なにをされても、私が悪かったと思いました。損をしたのは、私でしたから。仕事に行く人に喧嘩は禁物です。以後無かったと思います。記憶にはありません。実家の父も亡くなり、また、兄の長男もあっという間に亡くなりました。小学校の入学を前にして。兄の無念さは、いかばかりかと、涙さえ出ないありさまでした。それ以後兄は人が変わってしまったかにみえました。元来気弱に生まれているので、酒に溺れる毎日で兄嫁を困らせていました。親類縁者から見放され、信用を全部失ってしまいました。追い討ちをかけるように、脳血栓で倒れ脳の一部を失ってしまいました。亡くなるまでの間は、28年あったそうですが、兄嫁さまには、よくお世話になり、感謝しております。これより思い出すがままにつづっていこうと思います。