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 志なかばで戦地で亡くなっていつた画学生たち
 『無言館』にて 
上田市

上田市の郊外、塩田地区の小高い丘の上に、『無言館』と云う美術館があります。

館内には、第二次世界大戦中、志なかばで戦地で亡くなっていつた 画学生たちの遺作や遺品が展示されています。
題材は、愛する妻、家族、恋人、生まれ育った故郷の風景などです。

また、彼らが戦地より、家族などに当てたハガキや手紙、
同時に、遺族の方々から寄せられた、画学生への「思い」などを綴った文なども、一緒に展示されています。

そんな「作品」を見たり、「画学生たちの手紙」などを読んでいますと、窓もなく、 薄暗い美術館のどこからともなく、「もっと、もっと、生きたかったよ〜・・・絵を描きかったよ〜・・・」と云う、 彼らの悲痛な叫び声が聞こえて来るような気がするのです。。。。


 井 上 靖 著 「詩 集 北 国」に、こんな詩があります。
『 友 』
どうしてこんな解りきったことが 
いままで思いつかなかったろう。
敗戦の祖国へ
君にはほかにどんな帰り方もなかったのだ。
――海峡の底を歩いて帰る以外。