アポロのタロット占い

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Tarot FILES #7

ミーちゃん


私は、宗教のことはよく分からない。できれば、避けて通りたい道である。しかし、今、ここに私という存在がある以上、「生まれた」と「死ぬ」という2つの現象の中間でうごめいていることは事実なわけで、生死の問題について考えないわけにもいかない。ところで、「死」というものは、本人にとってどれほど重要なことなのであろうか? 死とは、本人よりもむしろ、その周りに生きていた人々にとって重大な事件なのではないだろうか。

例えば、こんな話がある。

ある女性から電話があって、私は占いの依頼を引き受けた。すると、彼女は電話を代わり、今度は涙声の少女が出た。どうやら電話をかけたのは母親らしい。

「どうしたの?」

「ミーちゃんが死んじゃったの」

少女は泣きながら言った。飼っていた猫が死んでしまったのだ。少女はその悲しみを拭い去れずに、いつまでも猫のことを思って泣いているのであった。火葬にした猫の灰も、ずっと家に置いたままだという。アポロといえどもさすがに、この依頼を占いでどう解決したらよいものか迷った。しかし、カードをめくっているうちに自然と答えは出てくるものである。私はまず、もっている猫の灰を手放すことを勧めた。海へ行って流してしまいなさいと。そして、ミーちゃんのことを忘れるためのいくつかのアドバイスをして、こう言った。

「いつまでも悲しんでいたらミーちゃんも心配で天国へ行けないよ。でも、君が幸せそうにしていたら、ミーちゃんは安心して天国へ行ける。」

死者のことをいつまでも思いつづけ悲しんでいては、その人の人生はそこでストップしてしまう。その悲しみを乗り越え、自分はまだ生きているということに気がつけば、その人は大きく成長することができる。成長し、天国へ一歩近づくのは生きている自分であり、死者ではないのである。

私は天国とは生きる人のためにあるようなもので、死者が行く所だとは思わない。こんな事を言うと、宗教家の方々に怒られてしまうだろうか。

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