Tarot FILES #8

最近ある女優が、16歳年下の俳優と結婚したとかいうニュースを耳にした。彼女は50過ぎのおばあちゃんだ。

年齢の離れた恋愛というのはよく話題になる。特に女性が年上となるとスキャンダルのいいネタだ。そのような恋愛が世間の注目を浴びる原理については私にもよく分からないが、年下の男性に恋をしてしまったという女性からの依頼ならよくある。

例えば、こんな話があった。

彼女は結婚していた。結婚して10数年。子供も何人かいるようだった。旦那はオランダ人で、文通を通して知り合い、彼の手紙に恋をし、ほとんど直接の交際期間を持たないまま結婚にいたった。旦那は年上だったから、ここで言うスキャンダルのネタにはならないが、彼の社会的地位はかなり高かったようで、オランダでは上流階級との交流が盛んだったという。彼女はオランダで暮らした数年間のうちに、ある少年と知り合った。彼は中流のごく普通の少年だったが、上昇志向が強く、彼女の身近にある上流階級の世界にあこがれていた。政治の話にも詳しく、彼女は、そんな彼の夢や政治についての話を聞くのが楽しくて、毎日のように会っては、何時間も一緒に時を過ごしていたそうだ。当時11歳だった少年と22歳の彼女。その出会いが、後に恋愛へと姿を変えるのであった。

数年後、彼女は旦那といっしょにロサンゼルスにやってきた。ある日、オランダの少年から手紙を受け取ったのだが、それは、彼の本当の気持ちの告白であった。その手紙を読み、彼女も初めて自分が恋をしていたことに気がついたという。そして、自分が今の旦那を愛してはいないこともはっきりと自覚したのである。文通を通して知り合い、恋をしたのは彼の手紙だった。いつのまにか結婚まで話が進み、やむを得ず結婚し、子供もできて、今にいたる。それが彼女の人生だった。愛のない人生だった。若さゆえの過ちだったのである。もう後戻りもできなかった。

出会いから13年。少年のことは、忘れようと決心はしたものの、13年という年月はそう簡単に消し去ることのできるものではなかった。かといって、今の旦那と離婚することもできない。おそらく、その苦しみはまさに、身を引き裂かれるようなものであっただろう。相談を受けた私も、そう簡単にどちらか一方を取れとは言えない。私には判断できないが、カードはこう語った。

「あなたの夫と子供たちを愛しなさい。人を愛することは罪にはなりません。」

今、目の前にいる家族を排除するのではなく、愛することで、彼女は本当の幸せをつかむことができるだろう。