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Tarot FILES #57

メールの引用 - 剣の5

2005-09-02T17:58:53+09:00


受け取ったメールに返信するときに、相手の文章を引用することがあります。たいていのメールソフトは返信時に自動的に相手の文章を引用符(>)付きでコピーするので、返信するときは引用するものだと思い込んでいる人も多いかもしれません。ビジネス的なメールの場合には、どのメールに対する返信かということを明確にするために全文引用することがマナーとされることもありますが、それ以外の場合には安易な引用がトラブルの原因となることもあるので気をつけなければならないと思います。

例えば、よくメーリングリストや掲示板上で見かけることなのですが、ある事柄に関する議論が行われているようなときに、相手の発言を引用し、ところどころに「突っ込み」を挿入するような形で返信している人がいます。このような引用の仕方をすると、相手がそのメール全体の流れの中で伝えようとしていたことを無視して、一つ一つのフレーズや単語の意味だけに反応して「突っ込み」をいれがちになってしまうのです。つまり、メールに書かれてある文章が単なる文字情報としてしか受け止められなくなってしまうのです。

メールには書き手の様々な気持ちが込められています。また、お互いの立場や関係、それまでにやり取りしたメールの流れなどによっても受け止め方は変わってくるはずです。ところが、引用によって相手の文章が単なる文字情報に置き換えられてしまうと、メールに込められた気持ちなどの見えない情報がことごとく失われてしまいます。これでは書き手が本当に伝えたかったことがなかなか伝わらずに、お互いの理解のずれが生じ、トラブルに発展してしまうのです。引用することで相手に喧嘩を売っているようなものです。前向きな議論などできるはずもありません。

私が管理しているタロット占いMLのルールとして、「引用は極力避けるように」としているのは、そういう理由からです。もちろん完全に禁止しているわけでもありませんし、私自身も多くの投稿で引用を用いています。使うときには慎重に行って欲しいということです。

引用がトラブルを招きやすいというのはプライベートなメールのやり取りでも同じことです。ひどいときにはお互いの人間関係が崩壊するほどの危険性もあるので、引用の扱いは慎重になりすぎるくらいでもいいと思います。

先日「顔文字」について話したときにも少し触れましたが、こちらがジョークのつもりで書いた文章でも、言葉が文字情報にしか見えなかったら相手にとってはきつい言葉で非難されたと勘違いしてしまうこともあります。そこで、その部分を引用して、「あなたが言っていることは不快だ!」などと返信してしまうと大変なことになります。こういう場合は顔文字でも添えておけばトラブルを回避できることもあるでしょうが、メールに込められた相手の気持ちをきちんと受け止めていれば顔文字などなくても誤解が生じることはないはずなのです。

インターネットの普及で様々な情報が手軽に検索できるようになりましたが、おそらく、そのせいで人間の思考もコンピュータ的になって、メールなどに書かれた文章が単なる文字情報にしか見えなくなっている人も増えているのではないでしょうか。テキスト情報のデータベースから気持ち的な部分をキーワード検索しようと思っても不可能です。つまり、人の気持ちには情報としての価値が見出せなくなっているのです。

言葉にはコンピュータには読めない「こころ」が込められているのだということを忘れないで欲しいです。

剣の5

剣の5

こころを失った言葉をいくら集めたところで、何の意味があろうか・・・。

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