翌週もオレたち3人は集まって、飲みながら話した。

「イモチャ、実家には帰らないの?たまにイモチャのお母さんと会って話したりするけど、えらい心配してたに。」

母はハッサの実家の花屋で働いていた。

「帰りたくない。帰るつもりはない。でも、だれも彼もが、『絶対に帰って親と話し合うべきや』って言うんだ。自衛隊の先輩や上司もしつこく言うし、ハッサやタナカだって・・・」

「そりゃそうずら。それがあたりまえだに。」

「僕は、イモチャが親と会いたくないって言うんなら無理に会えとは言わないよ。会って話したほうがいいとは思うけどね。」

ハッサはたいていオレの言うことに文句をつけるが、タナカはいつでもどっちつかずだ。

「それに、つい最近大阪の占師に占ってもらったんやけど、やっぱりその人もしつこく『親に会え』言うてきかへんねん。「会わんかったら夢に出て脅すで」とか言いよる。もううんざりや。」

どれほど説得されようが、オレは親に会うつもりはなかった。しかし、それから一週間、どうオレの心の中で変化があったのか、あるいはただの気まぐれか、信じがたいことに、とうとうオレは実家へ帰ってみようと決めてしまったのである。


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