虚言癖 - XVIII 月


UFOを見たとか幽霊を見たとか、気やオーラ、天使や妖精など、本当は見てもいないのに、見たと言う人がいます。そういう発言を一度してしまうと、見ていないはずなのに、実際に見たような気がしてきて、想像に過ぎないことを、現実だと思い込み始める。もう、そのときには、最初からずっと見えていたと、自分でも信じて疑わなくなってしまう。

科学的に実証できない現象をすべて「虚言癖」と決め付けてしまうのは偏見だと言われてしまうでしょうが、実際のところ、そのほとんどが「嘘」であることは間違いないと思います。

人間の脳というのは、想像に過ぎないイメージと現実の区別というのは非常に曖昧で、実際に見ていなくても、「見た」と思い込んでしまうことは極ありふれたことなのです。ロールシャッハテストのように、無意味なインクの染みのような模様に意味を見出してしまうのが人間なのです。

頭の中で想像しているだけの段階では、まだ寝ているときに見た夢と同じレベルで、現実との区別もしやすいのですが、一度それを言葉にしてしまうと、突然世界が変わり始めます。パラレルワールド理論で説明した「収束」が加速されるわけです。

ただ、「嘘」によって生じたパラレルワールドは、なかなか自分の思考の外側の世界にまでは浸透しにくいのでしょう。自分の中では実在するはずのものが、周囲にはなかなか認められない。だから、必死になって自分で証拠を探し回って、ますますムキになってあちこちで発言しまくるようになる。超常現象研究科がでしゃばりなのはそういうことなのでしょう。彼らは、真実を訴えたくて声を張り上げているのではなくて、自分が他人に認められたいだけなのです。

こころに寂しさを感じているときは、嘘によって他人の注意を引こうとしがちです。他人に認められたいという願望(欲望)は、最近では「自己実現」という言葉で説明されていますが、人間の本能的なものです。その願望が正常に満たされていないと、「虚言癖」などの症状として現れてきます。「嘘」は病気なのです。

特に女性の場合は、現代になってもまだまだ社会的には差別されがちで、多くの女性にとって自己実現が困難な状況が昔から続いています。女性が社会的に認められるためには、何か特別な能力が必要だったのです。例えば霊能力のように、人には見えない霊を自分だけには見えるということにしておけば、誰にも嘘は見抜けなません。霊能力があるという嘘は非常に都合が良いものだったわけです。女性に(自称)霊能者が多いのはそのためです。よく、テレビなどに出ている霊能者と称する人たちを見ていると、とても寂しそうなオーラを感じます。

・・・「オーラを感じる」なんて言ってしまう私の発言も嘘に見えますか?

誤解を生じやすいので使い方には気をつけなければなりませんが、「オーラ」とか「霊」という言葉で「見えないもの」を表現しているだけならいいと思います。あまり「見える」ことを強調し始めると危険ですけどね。

大切なのは、そこにオーラや霊のような何かが存在することではなくて、そこにある人のこころの動きを感じ取ることです。

嘘をつかなければならない人は、こころの中で誰かに助けを求めているのです。そんな彼らを許し、救いの手を差し伸べてあげられたらいいなぁと、思っています。

XVIII 月XVIII 月

闇の中に映ろうおぼろげな影におびえるオオカミ。月は女性の心理も表しています。



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