□ scene2 □


イギリス郊外の館にユリアスとシキは居た。

占いの部屋でユリアスはクスクスと笑う。
「どうしました?」
シキがティーポットから紅茶を注ぎながら問いかける。
「ツヤ子さんが僕に手紙を書いているみたい。哲也さんと結婚するみたいだ」
「それは・・・良かったですね」
シキは紅茶をユリアスへ手渡す。
ユリアスは紅茶の香りをそっと嗅ぎながら微笑む。

-ユリアスさんの瞳を今も目を閉じると思い出します。アメジストのような深い紫と月の光を浴びた雪のような銀色 (哲也さんは紫と黒だったと言うけれど)あんな印象的な瞳をもう一度見せてください。そして、お礼が言いたい。 ・・・それと逢いたい理由がもう一つあります。私は一度も逢えなかったシキさんと言う方にお逢いしたいです。言葉に表せないような美しい瞳を持っていると聞いています-

シキはトレイに焼いたばかりのチェリーパイを乗せ運んでくる。

-目覚めることは不可能だったはずの私を目覚めさせてくれた人を医者は不可解と言い、置かれていた羽根を見た人々は天使が舞い降り奇跡を起こしたと言っています。 でも、私にとっては、眠りから導いてくれた王子様だと思っています-

ツヤ子は全て書き終え封筒に手紙を入れ封をする。
封筒には-ユリアス・オーブ・アドリエス様-とだけ書かれている。

-きっと、あなたを捜し当てる事は出来ないでしょう・・・二度と。でも、もし、逢えたとしたらあなた達の館であなた達の話を聞かせてください-

ツヤ子は哲也に呼ばれ手紙を置いたまま部屋を出ていく。
手紙は春の光に溶けるように消えていった。

 

-epilogue-

-scene1-

-back-