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イタリアBe-bの事務所で、シェリーは円満な笑みを浮かべながら手にあるポスターを広げた。
「エルエルのポスター「エーゲ」が出来たわよ」
そこには白い壁の前に青い布を頭から被り、風に身を任せたような姿でこちらを見ているシキの姿があった。
壁の奥には青い海と空が広がっている。
ケイリーはポスターに書かれている文字をゆっくりと読む。
「「旅人は水のように香りを抱く」へぇ、綺麗な文句だな。シキとイメージがぴったりだ」
シキは嬉しそうに笑みを浮かべていたが、真剣な眼差してジーンを見つめた。
「ジーン、キャルは今後どうなるのですか?」
「解雇は免れないな。間違えなく誘拐罪に問われる所をユリアスの助言で今までの生活は出来るが、もう、モデル活動は無理だ」
「・・・そうですか」
シキは瞳を閉じうつむいていたが、ゆっくりとジーンに向き直った。
「・・・ジーン、私は私の行為でユリアスを傷つけるわけには行きません。私は・・・」
「僕は傷つかないよ」
シキはその声にはっと振り向く。
「・・・ユリアス」
ユリアスは両手に抱えきれない程の白い薔薇の花束を持ち、シキの前に立ち止まり微笑んだ。
「僕はシキの行いで傷ついたりしない。だからシキは自分のやりたいことをやって。そのためにシキが哀しみを持たないように」
そう言いながら花束をシキに手渡した。
シキは何も言わず花束を見つめていたが、やがてユリアスだけに聞こえる言葉で呟いた。
「・・・ありがとう・・・ございます・・・」
それをケイリー、ジーン、そしてシェリーは優しく見守っていた。
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