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医務室から学生会室への帰り道。
窓から見える向かいの校舎の明かりは消え、暗闇と静寂が支配している。
しばらく何かを考え込んでいた沢村が独り言の様な小さな声で呟いた。
「・・・白倉先生に巧く丸め込まれた気がする」
「・・・え? 先生何か言った?」
「・・・ううん、なんでもない」
立ち止まった沢村の横をイチハが通り過ぎる。
「僕は沢村先生に逢えて嬉しかったよ」
イチハの言葉に沢村は少しだけあっけに取られ、嬉しそうに笑みを浮かべた。
「僕もだよ。イチハくん」
清陽学院高等学校
迷い犬と小さな過去の物語
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