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サッカー部が練習を行っているグラウンドはコンクリートで階段の様なベンチに囲まれている。
そのベンチの一角に日下部と夕凪が座っていた。

その周りには二人を取り囲むように女子学生達の山。
夕凪は周りの女子学生を拒絶するかのように単行本を読んでいる。
日下部はグラウンドにいるマネージャに声をかけた。

「部員達が可愛がっていた子猫は見つかった?」

日下部の言葉に真っ黒に日焼けしたマネージャは哀しそうに首をふる。
「・・・みんな空いた時間に探しているんですが、見つからなくて。
 ・・・子猫の話、清瀬先輩に聞いたんですか?」
「あぁ、最近、見なくなったって聞いてね」
その言葉に反応するかのように一人の女子学生がポツリと呟いた。

「・・・そういえば、いつも見に来ていた人も最近見かけないよね」

その言葉に日下部は女子学生に視線を向ける。
「いつも見に来ていた人?」
「うん、少し離れた場所に座っていた少し年上の男の人」
そう言いながら、今いる場所から少し離れた木の陰が出来ているベンチを指差した。
女子学生の指差した先に他の女子学生の視線が動く。

「あぁ、いたいた。ちょっと病弱っぽい人」
「ここ最近、来なくなったよね」
「ちょっとカッコ良かったよね」
「そうそう、私チェックしていたんだけどなぁ」

盛り上がる女子学生達を後目に日下部と夕凪はそっと席を外す。
その姿を見ていたマネージャが不思議そうに呟いた。

「日下部さん達はサッカー部の視察ですか?」
その言葉に日下部はにっこりと笑みを浮かべた。
「まぁ、そんなところだ」

 

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