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「サッカー部の練習をいつも見に来ていた男の人?」

日下部達の報告にイチハと沢村が首を傾げる。
夕暮れ時、体育館の窓からオレンジ色の光が微かに射し込み、薄暗い体育館を少しだオレンジ色に染めている。
沢村は体育館のステージの縁に座り先ほど到着した日下部の話を聞いていた。

そこへ清瀬がサッカー部の練習から戻ってくる。
「雪哉達が言っていた男、サッカー部の中でも覚えているヤツはいるみたいだぜ。
 いつも見学者の集まる場所から少し離れた場所に座って、静かに見ていたらしい」

イチハがピクリと何かに反応した。

「来たみたいだね」

ボンッボンッ・・・ボンッ

昨日とまったく同じ光景が全員の瞳に映る。
サッカーボールが小さくバウンドを始め、その後ろにはサッカーボールを追いかけるように白い影。
その姿を見つめていた沢村はゆっくりとステージの縁から降り、白い影の方へ歩き出す。
その沢村の行動に反応するかのように少し離れた所に現れたもう一つの影。

「先生、来たよ。気を付けて」

イチハが沢村の後ろへスッと近づく。
イチハの言葉に沢村は優しく頷き、止めていた足を再び白い影に向かって歩き出した。
そして、バウンドしながら転がっているサッカーボールの前にしゃがみ、サッカーボールを追いかけていた白い影に優しく呟いた。

「僕は君に何もしないよ」

沢村は優しい笑みを浮かべ、ゆっくりと手を差し伸べた。
白い影は沢村の方へゆっくりと近づき、そして、手に擦りよった。

「・・・・ニャ」

白い影は次第に形と色を作り、影は焦げ茶色したトラ柄の子猫に変わる。

ゴロゴロ・・・ゴロ

沢村は喉を鳴らしながら手に擦りよる子猫から奥にいる白い影に視線を向ける。

「君も近くにおいで」

 

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