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「ったく、あいつ一体どういうつもりだよ。いまさら音楽性の違いなんて」
夕暮れ時、太陽は早々に顔を隠し、最期のオレンジ色の光が西の空を微かに照らしている。
薄暗い住宅地の編み目の様な細い路地を神矢直紀はギターケースを肩にかけながら歩いていた。
「あんたはスゴイが、俺の声には合わない・・・か。お前の声が俺の音に合ってねぇんだよ」
神矢は悔しそうに薄笑いを浮かべ、ゆっくりと動かしていた足を止めた。
「・・・ばっかみてぇ」
『ポロン・・・』
と、その時、どこからか微かにピアノの音が聞こえる。
それはとても澄んだ音色
「・・・ピアノ?」
神矢は当たりを見渡す。
近くには広い庭を人間よりも高い鉄の柵で囲まれた大きな家。
「・・・ここの家って、確か」
この住宅街に幽霊が出る家があるという噂。
真っ白い姿をした人間とは思えないようなモノが薄暗い部屋から外を見ている。
その目は血のように赤く、目が合った人間は恐怖で死んでしまう。
何度も聞いた噂。
その姿を見てどこかの病院へ入院したって人間の噂も聞いたことがある。
「・・・・・・幽霊屋敷・・・だよな」
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