□ prologue □


白と黒が混ざり合う世界

天使が住まう天界
悪魔が住まう魔界

その二つの世界の狭間にこの世界は存在した。
天使と悪魔が当たり前の様に出逢う事が出来る世界。

世界の中心には大きな白亜の宮殿が深い緑の木々に囲まれて建ち、天使や悪魔達が行き交う。
その木々に囲まれた宮殿には清らかな水が絶え間なく沸き上がる泉がある。

天界にも魔界にも存在する人間の世界を映す泉。
その畔で天使と悪魔の子供達が楽しそうにはしゃぎ回っていた。

その光景を一人の天使が目に留めた。

淡く輝く波打つ黄金の髪。
全てを包み込む海の様な深い蒼の瞳。
そして、光り輝く純白の翼。

その天使は沢山の天使たちに囲まれて、宮殿の渡り廊下をゆっくりと歩む。
その蒼い瞳に楽しそうな子供達が映る。

「・・・この時期は空間が不安定になるので立入禁止のはず」
「・・・どうされた?」

淡く輝く黄金の髪を持った天使の隣を歩く強い黄金の髪を持つ天使が不思議そうに見つめる。

次の瞬間、一人の悪魔の子供が泉の畔で足を滑らせ泉の中へ堕ちてしまう。

「・・・・っ!!」

蒼い瞳の天使はとっさに白い翼を広げ、悪魔の子供を追うように泉の中へ飛び込んだ。

「ミカエルっ!」

その言葉と同時に長く美しい漆黒の黒髪を靡かせながら、黒い翼を羽ばたかせ後を追うように
何者かが泉の中へ飛び込む。

「・・・あのお姿は・・・まさか、サ、サタン殿?!」
「馬鹿なっ、不安定な時期に泉に飛び込んだ者は、無事に地上へ辿り着く事が出来るか分からない
 ・・・たとえ辿り着いたとしてもどの時代へ繋がっているのかも分からない!」

沢山の天使の声が行き交う中、サタンを追いかけるように、黒い翼を持つ悪魔達も集まってくる。
天使とは異なる姿、漆黒の様な翼に尖った耳、鋭く尖った銀の角。
悪魔達の中から一人が天使の前に歩み出る。

「サタン殿がミカエル殿のお姿を目に留めていたのだが、ミカエル殿が泉の中へ入っていくのを目にして
 止める間もなく飛び込まれてしまった」
「・・・あの歪んだ空間で、お互いを見つける事が出来れば良いのだが・・・」

次の瞬間、泉の中から白い光に包まれた悪魔の子供が浮かび上がる。
子供は元の世界に戻って来た事が分かると、大粒の涙を零し泣き出した。
白い光に包まれた子供を天使が抱き寄せる。
白い光は天使が抱き寄せたのを合図の様に解けるように消えていった。

「子供、お二人は?」
「・・・ミカエル様が・・・僕を・・・見つけてくれて・・・」

子供は泣きじゃくりながら、話を続けた。

「サタン様と一緒に・・・僕を戻してくれたんだ」
「ミカエル殿とサタン殿は共にいるのだな」

強い黄金の髪を持つ天使の問いに、子供はゆっくりと頷いた。

「・・・そうか」

少し安心したかのように微笑んだ。

 

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