最初が肝心何事を行うにもスタートが肝心なのは、どこの世界でも同じだとは
思うけれども今回は、純粋にプレス加工の技術的なヒントを一つ。
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しばらく前から通常の従来からの鍛造加工と異なり、板材(コイル材)を
順送型の中で鍛造加工を行い完成品として排出する方法が注目されている。

これはほとんどの場合、他の加工方法(たとえば旋盤加工、フライス加工など)
からプレス加工に工法転換された部品であり、要求される精度も高い。
また、通常の打抜き、曲げ部品と異なり板厚の変化が伴う。

単品毎の鍛造加工と異なり、順送加工で鍛造を行うときの難しさは
1ステージ毎のブランクが、キャリアと呼ばれる繋ぎ部によって
元のコイルに連結されていることであり、これがなければ順送加工できない。

さて、鍛造加工で元の板厚に対して,つぶして薄くしたり圧力を高くし元の板厚
より厚くしようとするとき、単品加工では周囲を金型で囲んで、内圧を高める
などのコントロールがし易いのに対し、順送鍛造ではこのキャリア部で
外部とつながっているため、初期の内圧コントロールが大変難しい。

例えば、中央部から外れた場所に突起部のある部品を製造する場合、
周囲に拘束のない平板は、つぶしの初期、材料が横に流れて、
本来突起部になるべき部分も横に押されて動いてしまう加工が終了した後も、初期に流れた痕跡が変形の形で残ってしまう。

加工完了した部品や、プレス下死点のことだけを見たり考えたりしていても
この不具合の解決はできない。


順送鍛造加工においては  「  初期の流動制御が肝心  」   という話
 
 
 
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