アポロのタロット占い

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Tarot FILES #9

夫はDV、彼氏はドラッグ


できれば L.A.P.D.(ロサンゼルス市警)の世話になどなりたくないものである。しかし、人によってはやたらと L.A.P.D.と縁ががある人もいるようである。

例えば、こんな話があった。

あるクライアントから深夜に電話があり、呼び出された。「どうにもならなくなったら電話してください」と言っておいたら本当に電話してきたのだ。いったいどういうことかというと、実は彼女は旦那と一緒に住んでいたアパートを逃げ出し、行く場所がなくて困っていたのだ。一時はシェルターと呼ばれる家庭内暴力の被害にあっている女性たちをかくまう施設に逃げ込んだらしいのだが、そこでのひどい生活にも耐えられず出てきてしまった。頼れるのはアメリカ人のボーイフレンドのはずだったのだが、彼もまたドラッグに関わるトラブルがもとでアパートを追い出された。ここまでですでに彼女は2つの事件に巻き込まれている。旦那の家庭内暴力と、ボーイフレンドのドラッグと失踪事件である。

私が彼女に説明された場所につくと、そこでは何事かもめているようであった。そこはボーイフレンドのアパートだったのだが、そこのマネージャーとボーイフレンド、そしてクライアントの女性の3人が、私が来たのにもかかわらず何か言い合っている。しばらくしてクライアントの女性が近づいてきた。2歳になる娘をずっと片手で抱きかかえている。電話での依頼は何度も受けてきてすっかり知り合いのような気分になっていたが、意外にも私と彼女はこの時が初対面である。

もめごとのせいでかなり手間取ったが、彼女を助手席に乗せ、そろそろ出発しようかというとき、急に前方が眩しくなって見えなくなった。はじめは何事かわからず呆気に取られていたが、目の前をさえぎるようにして突然車が向かってきたのである。ポリスカーであった。警官が車から降りてこちらへ向かってくる。いきなり私たちは取り調べを受けることになった。車の登録証や免許証、パスポートなど、調べられるものはすべて調べ、顔の特徴やら何やらもこと細かくメモし、「タトゥー(イレズミ)はあるか」などの質問もされた。よくテレビなどで見る犯罪者の逮捕の現場そのものである。私は何も悪いことなどしていない。何がなんだかさっぱりわからなかったが、どうやらアパートのマネージャーの嫌がらせだったらしい。「外に怪しい車が止まっている」などと通報したのである。

まったく、とんでもない出会いから始まってしまった。その後、約1ヶ月間ほど、私は彼女のサポートを続けることになるのだが、最後の最後で彼女はまた、とんでもない事件を起こしてくれた。

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