アポロのタロット占い

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Tarot FILES #32

TBSテレビ「ニュース23」に出た占い師


1999年12月24日深夜11時過ぎ。アポロのホームページではチャットを利用したクリスマスパーティーが開かれていた。イブの夜にしてはたくさんの人が訪れていた。僕もワインなどを飲みながら軽いノリで会話を楽しんでいた。

しかし、パーティーもこれから盛り上がるというところで、突然、予想もしない事態が発生し、パーティーを続けることが出来なくなってしまった。アポロのホームページが置かれているプロバイダのWebサーバーがアクセス過剰のためにダウンしてしまったのだ。その後、サーバーが完全復旧するには数日を要した。

その日、何が起ったのか?

当時は 2000年問題 が話題になっていたということもあり、サーバー管理者は大慌てしたことだろう。しかし、原因は2000年問題などではなく、この僕にあったようだ。

アクセスが急に増えたのはテレビの影響だった。TBSのテレビ番組、「ニュース23」で、「タロット占い師のアポロ」が紹介されたのだ。放送直後からアクセスが急速に増え始め、数分後には、長野県のローカルなインターネットプロバイダはあっけなくダウン。全国放送のテレビ番組の影響力のすごさを思い知らされることとなった。

事の始まりは、その1ヶ月以上も前にさかのぼる。

記憶は曖昧なので、パソコンに保存してあるメールのログをたどってみると、11月6日の日付で、アポロからTBSの番組担当者に宛てた物が見つかった。アポロのホームページにある掲示板に書かれていた内容についての問い合わせであった。

掲示板に書かれていた内容は、以下のようなものだった。

筑紫哲也ニュース23 からのお願い

アポロ様 このような場を以下の目的で利用することを
お許しください。ただ、どうしても手段がなく
以下のメッセージを利用者の方に送りたくて
掲載させていただきました。
どうかご協力ねがいないでしょうか。

内容は以下の通りです。

「筑紫哲也ニュース23」の番組よりお願いです。
現在、「占い」に関する取材を考えております。
そこで、「現在、占いにはまっている人」
「現在、ありとあらゆる占いをためしている人」
「日常生活が占いに、大きく影響を受けている人」
「占い大好き人間」など、
又は、「占いによって被害を受けた人」なども
合わせて探しております。 NEWS23の取材を
受けていただける方を募集中です。
性別、年齢は問いません。 
私は、NEWS23のホームページの
スタッフの欄にのっているKと申します。
できれば、以下の私のメールアドレスにご自身の
ご連絡先(電話番号・メールアドレス)を教えていただければ、
詳しい内容をご説明させて頂きます。
又は、TBS代表電話 
**-****-****にお電話いただき、
「NEWS23のK」を呼び出していただければ、
直接お答えすることも可能です。私が不在の場合は、
お名前とご連絡先を伝言いただければ、
後ほど、ご連絡させていただきます。 
どうかよろしくお願いいたします。

事前にメールなどで問い合わせがあればともかく、いきなりだったので、内容の信憑性について疑問を感じ、すぐに削除してから、担当のKさんに問い合わせてみた。

さっそく返事が来て事情を説明していただいた。それでもすぐに信用するわけにもいかず、取材の申し出については、とりあえず占ってみてから結論を出した。実は、ちょっと恐かったのだ。

棒の4
城の外、ですか。

なにか、個人的な理由がありそうな雰囲気はありますが、危害を加えられることもなさそうです。Kさんのことを「安全である」と信用してもいいでしょう。

Kさんの申し出をお受けいたします。

そう返事をすると、直接会って話をした方が納得できるということで、Kさんは「どこへでもお伺いします」とは言っていたのだが、アポロが長野県に住んでいると知って、驚かせてしまった。インターネットでビジネスをするのは「東京在住の人だ」という固定観念があったのかもしれない。多くの人々がインターネットで活動する今の時代、住む場所は東京である必要はまったくないのである。

結局その時は直接会うことは出来なかったが、電話で話して事情については納得することが出来た。この時の電話での会話が、Kさんの心を動かすことになったらしい。

その後、ニュース23の取材の協力のために、アポロのホームページでは、トップページで以下のような内容を掲載した。

「筑紫哲也ニュース23」よりお願い

タロット占い師のアポロ様のホームページをよくご利用いただいている方で、今後テレビ取材をお受けいただける方を探しております。ホームページの常連の方、アポロ様のファンという方、または、一度はアポロ様に会ってみたいという方がおられましたら、ぜひご協力をお願いします。

取材の内容は、「いつころから、又、なぜインターネットで占いをしてもらおうと思ったか」、「アポロ様はご自身にとってどのような存在ですか」、「占いの忠告をどの程度忠実に従っていますか」などの質問をご自宅のパソコン画面の前でさせていただきたいのと。また、アポロ様に一度お会いいただける方を探しています。

ご興味のあるかたは、以下のメールアドレスに

  1. お名前
  2. 住んでいる場所(県&都市名)
  3. 電話番号
  4. 電話で話せる時間帯

を明記して送っていただければ幸いです。こちらからお電話させていただきます。

こうして、取材協力をしてくれる人を募集したりしながら、Kさんとのやり取りが続き、とうとう、アポロ本人が取材を受けることとなってしまった。日付ははっきり覚えていないが、12月10日のアポロからのメールで、「取材ご苦労様でした」とあるので、その直前あたりに取材を受けたのだと思う。

取材はKさん本人と、カメラマン、音声さんの3人で、長野県松本市にあるアポロのボロアパートまで来ていただいた。なんと、2日間に渡る密着取材となり、アポロのプライベートのすべてをカメラに収めることとなった。朝起きてから寝るまで。近所の銭湯に歩いていくところまで重いカメラをかついで撮影。なぜか、冷蔵庫の中身まで撮影。何が入っているかまで細かく説明してしまった。

この時、メールによる依頼を実際に占っているところも撮影している。放送時にもその場面が映っているが、頭に巻いている緑色の物体は、アイスノンである。頭痛持ちなので、時々アイスノンで頭を冷やしながら占いをしているのだ。この時の占い結果は「TarotFILES #31」で公開している。

この取材で最も力を入れたのが、全国3ヶ所からの同時取材だった。埼玉、松本、兵庫の3ヶ所から同時にチャットルームにアクセスし、その様子を3台のカメラで撮影するという試みだった。これにより、インターネットを利用した「チャット」が、距離を感じさせないリアルタイムなコミュニケーションであることをインパクトのある映像で表現することが出来る。

当時はまだインターネットでのチャットが一般の人たちには十分に浸透していなかった時代である。日本中(世界中)どこにいても同じ場所で複数の人が会話できるということは非常に画期的なことであった。ましてやチャットで占いなど前代未聞であった。おそらく日本で最初にチャット占いを始めたプロの占い師は私(アポロ)である。

Kさんが狙いとしていた物をはっきりと聞いたわけではないので、僕にはよく分からないのだが、その結果は、実際の放送を見た人たちには十分伝わったと思う。

この取材に協力してくれる人を見つけるには、とても苦労した。ギリギリまで交渉して、やっと取材の許可が出たといった感じだった。

寒い時期に暖房のほとんどきかない寒い部屋の中での取材で、カメラマンさんや音声さんも大変だったと思うが、みなさんとても良い人たちで、気持ち良く取材を終えることが出来た。

取材のあとでKさんはこんなメールを送った。

こんにちは、Kさん。タロット占い師のアポロです。

先日は、取材ご苦労様でした。

先日の取材では、いろいろと言い忘れたことがあったかもなぁなんて思ってるのですが、一つ、思い付いたので、書いておきます。

現代の人々が宗教や占いに向かったり、あるいは、誰もいないチャットルームでカメのハミトと会話したりするのは、希薄になった「愛」をどこかに探し求めているからじゃないかなぁなんて思うんです。

家族のつながり、地域の人々のつながり、学校や会社での人々のつながり、友人や恋人とのつながりなど、どれを見ても、現代の日本の状況は、とても希薄で、みんな「愛」に餓えているように思えます。

そんな、とても不安でたまらない心に安らぎをもたらしてくれるのが、宗教であり、日常の一部と化した占いであるのかもしれません。

(中略)

かつて僕の親友が新興宗教にのめり込み、精神を病んだことがありました。

その後、立派に社会復帰した彼と会いましたが、その時の彼もまた、別の新興宗教に心を奪われていました。

失望した僕は、彼とケンカをし、そのままアメリカに渡りましたが、数日後、彼は、事故で亡くなりました。

TarotFILES #2

こんな事があってから、僕はずっと、宗教や人の心の問題を考え続けてきました。

アメリカにいる間には、自分自身も心を病み、カウンセラーのもとに何度も通いましたが、結局、完治する前にやめてしまいました。

ほぼ同時期に、アメリカに住む日本人を対象に、占いの活動を始め、人々の悩みの相談に乗るうちに、自分自身も回復して行きました。

阪神大震災をきっかけに占いをはじめ、友人の死や、アメリカでの自らの苦悩などを経て今に至るアポロには、占いを通じて、人々に伝えるべき物と、探し求めなければならないものがまだ沢山あるように思えます。

(以下略)

松本市のアポロの部屋では室内用のテレビアンテナで放送を受信しているのだが、電波状況が悪くてNHKは映らない。民放も4局あるはずなのだが3局しか見ることが出来ない。運悪くTBS系の放送を見ることが出来ないのだ。Kさんはビデオを送ってくれると言ってくれたのだが、近々東京の友人が遊びに来る予定があったので、録画はその友人に頼んでおいた。

放送は12月24日の深夜。ニュース23としては1999年の最後の放送ということで、「信じる」というテーマで特集が組まれていた。その中で10分程度の枠で、アポロの取材の様子が放送されることになっていた。放送日についてはホームページの訪問者には告知していなかったので、プライベートな友人以外は誰も知らないはずであった。アポロ本人も当日に見ることは出来ないので、放送のことなどほとんど気にせず、のんきにチャットパーティーを開催して楽しんでいたのである。

放送後、その反響は予想をはるかに越え、一夜にして「平凡な占い師」が「テレビに出たあの占い師」という見方をされるようになってしまったのである。1年たった今でも「テレビで見ました」という人からメールをもらうことがある。Kさんの作り上げた番組が、人々の心に強烈なインパクトを与えた証拠であろう。


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