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Tarot FILES #666

オーメン

2006-06-05T13:11:42+09:00


DVD で「オーメン」を観ました。実は先週のうちに借りてきていて、もっと早めに記事を書こうと思っていたのですが、なかなか観る暇がなくて、もう 1 週間レンタル期間を延長(というか普通に借り直し)して、つい先ほどやっと観ることができたところです。以前にも 1 度観たことはありましたが、やはりタイムリーな話題として、もう一度観ておこうと思ったのです。

何がタイムリーかというと、お気づきの方も多いかとは思いますが、今年 2006 年の 66 日は、その日付に 63 つ並びます。つまり、「666」という数字が表れる特別な日なのです。この数字は映画「オーメン」の中で重要なキーワードとして扱われており、それに合わせて今年リメイクされた新しい「オーメン」が 66 日に公開されることになっています。もう明日のことなので、この記事も明日投稿した方がよりタイムリーな感じもしますが、既に 1 週間も予定から遅れているので、とりあえず投稿してしまいます。

今回観たのはもちろん新作ではなく、1976 年公開のオリジナル作品の方です。今調べたら公開は 10 月だったみたいです。もし 66 日に公開されていたら、1976-6-6 で、このときも 63 つ並んだはずですけどね。

映画の中では年ははっきりしませんが、66 日の午前 6 時という時刻によって 666 という数字を導いていました。この時刻に映画の主人公であるダミアンが生まれます。

そもそも 666 というのは何かというと、ヨハネの黙示録第 13 章第 18 節に書かれた「」の数字だそうです。(この数字については「666(タロット占い講座)」でもう少し解説します。)

ただ、獣と言っても、ライオンや牛やヤギのような動物ではなくて、「人間である」とも書かれているようです。「オーメン」の中では、666 が悪魔の印として登場していました。ダミアンはこの印を持って生まれた悪魔の子供だったというのが映画の中での設定です。

ちなみに「オーメン」というのは辞書を調べるとちゃんと意味が載っていて、

オーメン【omen
前兆。きざし。特に、よくないことが起こる前兆。

などと書かれています。「アーメン」を聞き間違えたわけではなさそうです。

以前に 1 度観たときはそれほど面白いとも思わなかったような覚えがあるのですが、今回改めてじっくりと観てみると、作りもていねいで、非常に良くできた作品だと思いました。役者の演技もすばらしく、特にダミアンのお父さん役の人(グレゴリー・ペック)の演技は最高で、ちょっとしたしぐさや何気ない表情からも気持ちが感じられ、いかにも役を演じているというような嘘臭さもありません。この映画の肝ともいえる心理的描写も彼の繊細な演技のおかげでますます引き立ち、とても感動させられました。音楽などもグレゴリアン聖歌風の曲を用いており、独特の悪魔的な雰囲気が出ています。

悪魔をテーマにした映画なのでジャンルとしてはホラーということになりそうですが、そう思って観ると期待はずれということになるでしょう。私も以前観たときはホラー映画を観るつもりだったので「それほど面白くない」と評価してしまったのかもしれません。この映画はどちらかというと、もっとリアルなサスペンスというジャンルのほうが当てはまりそうです。実際に「サイコロジカル・サスペンス」とか、「サイコ・スリラー」というような呼ばれ方もしているようです。つまり、「心理的(あるいは精神病的)なサスペンス」ですね。

つまり、この映画の中では悪魔を「人の妄想」として演出しているのです。映画を観ていると「いったい悪魔はどこにいるのだろうか?」とか、「悪魔は何を目的としているのだろうか?」とか、いろんな疑問が出てくるのですが、それらに対する答えは最後まではっきりしません。何かとらえどころのない異様な雰囲気だけがただよっているのです。もちろん映画の中では 666 という数字が実際に人間の体にアザとして浮かび上がっていたり、心霊写真のようなものが撮影されてその通りに人が死んだり、ダミアンの母親の墓の中に犬の骨が収められていたりと、妄想では片付けられないような証拠もいろいろと出てくるのですが、どうにも腑に落ちないのです。映画の作り手は観客にわざと証拠を見せ付けながら「悪魔が存在する」と思い込ませつつ、しょせんは妄想でしかないということを、逆にはっきりと訴えているようにも見えるのです。これがホラーだったら、最近の流行では「一番怖いのは人間だ」みたいな落ちで終わるのですが、そのように単純に結論が出せるようなものでもありません。

観客はいったい何を観ているのかというと、実はダミアンの父親をはじめ、登場人物の精神がどんどん壊れていくさまをじわりじわりと見せ付けられているわけです。観客はなんだか人事ではないような気がしてきて、身につまされるような想いから恐怖を感じるわけです。映画の中では何人も人が死んだり首が切断されるようなショッキングなシーンもありますが、そういった部分はむしろそれほど怖くありません。この映画が単なるホラーではないというのはその点からも言えます。

既に古典的とも言える作品であり、当時としてはかなり衝撃的な内容だったのかもしれませんが、最近の映画と比較してしまえば確かにエンターテイメントとしては見劣りするのも事実です。しかし、私は今観ても非常に考えさせられる質の高い作品だと思いました。当時の世間の評価でも、「人の人生を変えてしまうほどの影響力の強い映画」と言われていたそうですが、その力は今もまだ衰えていないようです。

ところで、こんなことを言う人もいます。

何より、「悪魔が存在しない」というのは悪魔の作り話だ。

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