[ 第42回 ]
「Tarot FILES #666 - オーメン」に出てくる666という数字について、もう少しお話ししておこうかと思います。
これはヨハネの黙示録(新約聖書の最後の一書、アポカリプス)第13章第18節に書かれている数字です。
"Here is wisdom. Let him that hath understanding count the number of the beast: for it is the number of a man; and his number is 666."
Book of Revelation Chapter 13 Verse 18
日本語に訳すと、「ここに智恵がある。思慮ある者はその獣の数字を数えなさい。その数字は人間をさしているからである。その数字は666である。」となります。
黙示録はいわゆる終末預言で、タロットカードでも大アルカナの20番目のカード、「XX 最後の審判」のモチーフになっていたりします。また、トートのタロットには、11番目のカード、「XI 欲望(Lust)」に獣666の姿がはっきりと描かれています。トートのタロットの作者であるアレイスター・クロウリーは自らを獣666だと称していたそうです。
この謎めいた数字が何を意味するかということですが、少なくとも聖書の中では「反キリスト」を意味するものとして扱われているようです。なぜそのような数字になるのかという理由は簡単には説明できないのですが、その謎を解く鍵は「ゲマトリア」にあります。ゲマトリアというのは、ユダヤ人の哲学的思想の源ともいえる「カバラ」における数秘術の一つで、聖書などに用いられているヘブル語(ヘブライ語)やギリシャ語を数字に置き換えて解釈する方法です。
アレフ | א | =1 | ヨッド | י | =10 | クフ | ק | =100 |
ベート | ב | =2 | カフ | ךכ | =20 | レーシュ | ר | =200 |
ギメル | ג | =3 | ラメド | ל | =30 | シン | ש | =300 |
ダレット | ד | =4 | メム | םמ | =40 | タウ | ת | =400 |
ヘー | ה | =5 | ヌン | ןנ | =50 | カフ | ך | =500 |
ヴァウ | ו | =6 | サメフ | ס | =60 | メム | ם | =600 |
ザイン | ז | =7 | アイン | ע | =70 | ヌン | ן | =700 |
ヘット | ח | =8 | ペー | ףפ | =80 | ペー | ף | =800 |
テット | ט | =9 | ツァディ | ץצ | =90 | ツァディ | ץ | =900 |
数秘術的な解釈によれば666は悪魔(反キリスト)を表し、黙示録で獣と呼ばれていた人物の名前をゲマトリアで数字に変換すると666になるということらしいです。たとえば、かつてクリスチャンたちに迫害を与えたローマ皇帝ネロの名前をヘブル語ゲマトリアで見ると666、ギリシャ語ゲマトリアでも666の2倍になるそうです。このように「思慮ある者」は名前のゲマトリアが666になる人物を探せば、この世の終わりの時に現れる悪魔を見つけ出すことができるというわけです。ただ、黙示録が預言しているのは未来の人物であり、黙示録が書かれた時代よりも前の人物であるネロを示すものではなさそうです。あのナチスのヒトラーでさえ、そのゲマトリアは444にしかならず、666の人物はそれ以上の恐ろしい存在だといえそうです。
ちなみに、777は十字架を表し、888はイエス、999は神を表すのだそうです。
ところで、ギリシャ語で「心」を表す言葉のゲマトリアを調べると、なんと666になるそうです。やはり、悪魔というのは人の心に潜むものなのかもしれません。もし、666が人の心を示すものだとしたら、この世界を滅ぼすのは、私たち自身だということになります。そんなことになってしまわないよう、私たち一人一人が常に正しい心であり続けたいものです。もはや、他人事ではありませんよ。
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