ダ・ヴィンチ・コード


久々に映画館に足を運び、「ダ・ヴィンチ・コード」を観てきました。先日の歯科通院で懲りていたので、しばらくお出かけは控えたいところだったのですが、ちょっと気になることがあり、何かと話題の映画でもあるし、たまには旬の話題も良かろうと思って、無理をして観にいくことにしました。

実は、近所の映画館では上映されていなかったので、電車で1時間ほど(その前に駅まで自転車で30分ほど)離れた町までわざわざ観に行きました。思えば電車に乗るのは数年ぶりです。駅から映画館までの道も、事前に調べておきながら迷ってしまい、ずいぶんと歩き回った挙句にやっとたどり着きました。どちらかというと、私は方向音痴なのかもしれません。それでも、長野から大阪くらいなら歩いたことはありますが。

ダ・ヴィンチ・コード」に関しては、実はそれほど詳しく知りません。小説も読んだことはありませんが、テレビで少しだけ特集の番組を見たことがあったので、どのようなテーマを扱っているのかということは知っていました。この映画のレビュー記事などは一切読んでいないので、具体的な内容の予備知識はありませんでしたが、ニュースの記事はたびたび目にすることがあり、そのどれもが「失敗作」だの、「不振」だの、「失笑をかう」だのと、悪い評価ばかりなので、そうとうに出来の悪い映画なのだろうということは予想していました。

それでも観に行こうと思ったのは、一番の理由はいつもの「ふと思い立ったから」なのですが、もうひとつの理由として、つい先日、偶然にMSNビデオの「ダ・ヴィンチ スペシャルサイト」というサイトにめぐりあい、興味を持ったからというのがあります。このサイトの中で、イエス=キリストのライバルとしてアポロニアスアポロニウスApollonius)が紹介されていて、そのあたりを検索していて、たまたまこのサイトにたどり着いてしまったというわけです。もしかしたら映画の中でもアポロニアスに関することが出てくるかもしれないと期待していたのですが、残念ながら、その点では期待はずれでした。

さて、肝心の映画の内容とその感想ですが、160分というびっくりするような長時間の作品で、それだけでもちょっと引いてしまうのですが、実際に観てみると、つい引き込まれてしまい、160分という時間を十分に堪能させてもらいました。なかなか面白かったと思います。リアリティに欠けるとかいう評価もありましたが、「創聖のアクエリオン」でエンターテイメントを楽しむ訓練をつんでいたせいか、あるいは、トム・ハンクスという俳優には好感を持っていたために、ひいき目に評価してしまうのか、そんなに悪いところは気になりませんでした。ドキュメンタリー風の映画だったら途中で居眠りでもしていたかもしれませんが、サスペンスやホラー風の演出で緊張感があり、内容も興味のあるテーマだったので、最後まで飽きずに見ることが出来ました。

トム・ハンクスはシンボルを研究する教授の役だったのですが、そのせいで事件に巻き込まれてしまいます。タロットカードにもある型(ペンタクル=五芒星形)のシンボルも最初の方で出てきて解説されていましたが、それよりも重要なシンボルとしてヘキサグラム(=六芒星形)が出てきます。私のタロット占い講座でも以前「ヘキサグラム・スプレッド」として紹介していますが、このヘキサグラムが非常に重要なシンボルであることはその講座の中でも触れています。

タロット占い講座では「男性原理」と「女性原理」という言葉で説明していましたが、映画の中でも、上向の三角形 は男根を表し、下向きの三角形 は子宮を表すと説明していました。そして、その子宮を表す逆三角形がダ・ヴィンチの描いた「最後の晩餐」の中に隠されており、実際には描かれていなかった聖杯(これもタロットカードに描かれるシンボルのひとつ=カップ)を意味しているのだとか。あるいは、その絵の中で女性と見られる人物こそが聖杯を意味しているのだとか。そして、イエスと聖杯を意味する女性とが交わったもの、それがヘキサグラムとなるのですが、その結果生まれるものがそこに暗示されているわけです。つまり、人間としてのイエスの子供がいたのではないかというのが、このお話の最大のポイントなわけですね。

私は原作も読んでいないし、映画は話の流れが速すぎて確かに理解し切れない部分もあるのですが、要は、イエス=キリストの子が存在し、その末裔が生き残っているということでストーリーが展開していたのだと思います。なんだかよくわかりませんが、こういうオカルトっぽいネタは、私にとってはいい刺激になりました。

純粋な日本人である私には、自分がキリストの末裔である可能性はほとんどゼロなので、「もしかして自分が……」なんて事を期待することは無意味なのですが、なんだかつい、そんなことを考えてしまう映画でした。

せいぜい私の場合は、キリストと同時代に生きたと言われる伝説上の人物、アポロニウスの生まれ変わりかもしれないなどと妄想に浸るくらいのことしか出来ませんね。ちなみに、最近の私は、生まれ変わりとか、前世とかいった概念はあまり信じていません。そういった概念は人間が都合のいいように考え出したものに過ぎず、真実は別のものであるということがわかってきたからです。それについては、またいずれ詳しく書きたいと思います。

ともかく、今回観た映画、「ダ・ヴィンチ・コード」は、世間の評判ほどは悪くはなく、苦労して観に行っただけの価値はあったと思いました。キリストの真実がどうのこうのとか、ストーリーや演出にリアリティがないとか、いろいろ理屈っぽく評価したがる人にとっては面白くないかもしれませんが、原作なども読まず、あまり先入観などもなしに観れば、普通に楽しめる映画だと思います。世間の評判が悪いからというだけで観に行くのをやめてしまうのはもったいないです。何事も、自分の目で確かめようと思う気持ちが大切ですからね。

いつもはビデオばかり観ているのですが、やっぱり映画館で観る映画はいいですね。


アポロのタロット占い