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外へ出た綺羅と伊里座の瞳に飛び込んできたのは、凍りついた世界だった。 先ほどまで優しい太陽の光に照らされた緑の世界は、太陽も姿を隠し、 凍りついた木々は白く膜を貼ったかの様に色あせている。 綺羅と伊里座の口から白い息がこぼれる。 綺麗な水を湛えていた泉も凍りつき、銀色の鱗を輝かせていた魚は泳いでいた姿のまま時を止めている。 「彩羽・・・」 彼女はその泉の上に佇んでいた。 口には笑みを湛え、綺羅と伊里座を鮮やかな青い瞳で見つめている。 彩羽はゆっくりと右手を掲げた。 その瞬間、凍りついているはずの泉から氷柱の様な沢山の氷の矢が生まれ、 綺羅と伊里座に向かい襲いかかった。 「魔法<チカラ>の壁よ、我を守る盾となり給え」 咄嗟に伊里座の口から呪文が生まれる。 「シールド!!」 綺羅と伊里座の前に透明な幕の様な盾が生まれた。 その力に阻まれ、氷の矢は届く事が出来ず、盾のにぶつかり粉々に散っていく。 「綺羅、彼女の力が暴走しています。このままではサスイ村にも強い冷気が届き、村を凍らせてしまいます。 その前に暴走をくい止めないとなりません」 「はい」 氷の矢の衝撃で透明な盾はひび割れが見える。 「シールドが解け次第、呪文へ移ります」 その瞬間、シールドのひび割れが大きく裂け、盾は硝子が割れるように地面へ落ちていく 水ノ呪文ヲ唱エル 眠リノ呪文ヲ唱エル |