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木々の間から白亜色をした教会が見える。
空に向かって十字架が輝き、大きな鐘も太陽の光を浴びてキラキラと輝いていた。
リョウは木で出来た両開きの扉をゆっくりと開けた。
「天空より舞い降りたる戒めの糸よ。紡ぎ出す糸で戒めよ」
扉の奥から詩を唱う様に詠唱が聞こえる。
カズイはその声に反応し、叫んだ。
「リョウ!扉を閉めろ!」
カズイの言葉も空しく、詠唱を唱える声の主は魔法を完成させる最後の言葉を紡いだ。
「ウェブ!!」
教会の奥から透明な無数の糸がリョウへ襲いかかる。
「うわっ」
太陽の光に反射する透明な糸が一瞬にしてリョウの動きを封じた。
「さぁ、今だよ!!」
その声に複数の子供達の叫び声が聞こえ、奥から木の棒を持った10代の子供達がリョウに向かって襲いかかった。
「一体、何なんだ!!」
その時、扉の影に隠れていたカズイが、リョウの前立ちふさがり剣を構えた。
子供達が剣のするどい煌めきに動きが止まる。
「もう出てきても良いんじゃないか? 魔法使い殿」
カズイの青い瞳は教壇の奥の影を鋭く睨み付けた。
そして、暫くの沈黙の後、影が動き奥から淡い緑色をした髪の長い若者が姿を現した。
若者の周りにはまだ幼い子供達が若者の服にしがみつき、怯えるようにカズイを見つめている。
若者は髪と同じ淡い緑色をした瞳を伏せながら、服にしがみついている子供達の頭をそっと撫でた。
「剣を収めてくれないか?子供達が怯えている」
「魔法を使わなければ。あと、この物騒なモノを持った子供達を下がらせてくれ」
若者はゆっくりと頷き、子供達を招く。
カズイは子供達が下がったのを見届け、構えていた剣を鞘に収めた。
「・・・君達は誰?」
その言葉に糸に縛られたままのリョウが呟く。
「普通魔法攻撃じゃなくて、その言葉が先だろ」
リョウは身動きがとれないまま、横目でカズイを睨み付ける。
「・・・それよりカズイ、助けろよ」
カズイは睨み付けるリョウに向かって青い瞳でニッコリと微笑んだ。
「結構似合っているぜ。リョウ」
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