□ scene5 □


リョウ、カズイ、そして若者ケイトは教壇に座り、子供達は教会内を走りはしゃいでいる。
「僕がこの町へ来たときには、すでに大人達は全て姿を消していたんだよ。 残された子供達はすでに涙を枯らしてしまったのか、自分たちの家で親たちが帰るのをじっと待っていた」
一人の幼い子供がケイトの隣にしゃがみ込んだ。
ケイトはにっこりと微笑みながら優しく子供の頭を撫でる。
「子供達の話だと、大人達はどこかへ連れ去られてしまったみたいなんだ。 僕は大人達を見つけに行きたかったけど、僕一人ではどうすることも出来なくて。かといってそのまま子供達を残して旅立つ事分けにもいかなかった」
「・・・それで子供達を教会へ集め、守ろうとしていたのか」
カズイの言葉にケイトはゆっくりと頷いた。
「・・・連れさらわれた場所は知っているのか?」
ケイトはリョウの言葉に、はしゃいでいる中の小さな男の子を手招きした。
そして、男の子の耳元で囁いた。
「父さんと母さんは何処へ行ってしまったの?」
男の子は少し哀しい瞳でケイトを見つめる。
そして、ゆっくりと西側を指差した。
リョウとカズイは指差した方向を見つめる。
その視線の先には小さな窓硝子があり、木々の間から標高の高い山々が見えた。
「・・・リップル山脈・・・?」
「おっきなね、まもりがみさんがきてね、いっしょにいっちゃったの」
「・・・まもりがみ・・・?」
「うん。やまのいちばんうえにね、すんでいるの。ぼくたちをいつもみまもっているんだよ。でもね、わるいことをするとやまからおりてくるんだって」
男の子はうつむき、泣きそうな震える声で小さく呟いた。
「とうさまとかあさまは、わるいことしちゃったのかなぁ・・・」
ケイトはうつむいたままの男の子をゆっくりと抱き寄せた。
「大丈夫だよ。僕たちがみんなの父様と母様を絶対に助けるからね」
「うん」
男の子は少しだけ微笑み、はしゃいでいる子供達の方へ戻っていった。
その姿をケイトは見つめながら、呟く。
「彼らが言う護り神というのは、たぶん広場に飾られていた石像の事を言っているのではないかと思うんだ。中央の広場に町を守るように建てられているからね」
「石像・・・って事は、護り神はドラゴンって事か?」
「・・・村の護り神が村を不幸にするような事を自ら起こすなんて、普通は考えられないな・・・」
カズイはじっと考え込むかの様に、左手で頬杖をついた。
「とりあえず、これだけの情報では山に行ってみるしかないか・・・」
「・・・ケイトはどうする?」
「本当にドラゴンが相手なら僕なんて歯が立たないけど、ここで防御だけをしていても何も解決にはならないしね。魔法使いがいないよりはましでしょ」
ケイトは淡い緑色の瞳をにっこりと細めた。

 

-scene6-

-scene4-

-back-