□ scene3 □


「クローン人間?」

「えぇ、無性生殖で創り出された細胞。生物の細胞を使って同じ生物を創り出す技術を応用し、ある人物と全く同じ人間を創り出すことです」
眼鏡をかけた姿のシキは機械に囲まれた部屋でコンピュータに向かいキーを打ち込んでいる。
ユリアスは近くのソファーに座り、湯気の立つ紅茶を手にしている。
「まったく同じって事は、あのエンジェルは元の人間も翼を持っていたって事?」
「そう言う事になります」
コンピュータのモニタ上にエンジェルと言う言葉が映し出され幾つもの文字が流れていく。
「キーワードはエンジェルです。それに、もしクローン人間だったとすれば、まだその殆どが実験段階のはず。彼女が誰なのか分かるかも知れません」
シキの賭ける眼鏡にモニタの光が反射する。

「エンジェル・・・オーティス」
ユリアスがソファーから立ち上がり、シキの座る椅子の後ろに立ちモニタをのぞき込む。
「クローン実験を行う博士の中にイギリス人ナイト・オーティスという人物がいます。年齢は19歳。その彼にエンジェルという名の双子の妹がいます。
しかし、彼女は2年前に事故死しています。そして、ナイト・オーティス自身も妹の事故後、姿を消しています」


「どこへ行っていたんだエンジェル」
窓から月の光が射し込むその中にソファーに座る一人の若者がいた。その若者は突然部屋へ現れた少女に驚きもせず薄暗闇の中エンジェルと呼ばれた少女に近づいた。
「ある人のところへ」
エンジェルは右胸を押さえながら息を弾ませる。
「ある人?・・・まぁいい。それよりもお前はまだ完全な体ではないんだ。体に異常は無いか?」
「・・・どこにもないわ」
金の髪と緑の瞳を持つ若者は少女の頬に手を当てる。
「・・・本当に?」
「えぇ、本当よ。ナイト兄さん」
エンジェルはそっと笑みを浮かべた。

 

-scene4-

-scene2-

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