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「雑誌記者?」
「はい。モデル誌「high-class」の特集記事、モデルクラブの紹介記事の様です」
イタリア、ミラノにあるモデルクラブ「Be-b」にシキ・クランドルはいた。
クラブの事務所には大きなデスクが一つ置いてある。
そこにはジーン・R・アンダーソンが手に顎を置きながらケイリー・マックナイトの問いに静かに答えた。
その側にはシェリー・マイヤーが椅子に座り「high-class」の雑誌に目を通していた。
シェリーはある記事に目を走らせながら呟く。
「記者の方は、先ほど帰っていったわ。ケイリーとシキの一足違いだったのね。背の高いセクシーな男性だったわよ」
シェリーは雑誌をそっと閉じ、ケイリーに向かってにっこりと笑みを浮かべた。
ケイリーは何かを悟ったように頭を押さえる。
「ボイス・マックナイトだろ。・・・俺の兄貴だ。ここには来るなって言っておいたのに・・・くそっ」
「ボイス・マックナイトといえば、モデル雑誌の記者の中では有名な名前ね。
それにあれほど素敵な彼だと雑誌嫌いなモデルでも相手にしても良いかと思うもの」
「まぁ、俺の兄貴だからな。マスクは良いと思うぜ。でも、良いのは表面だけだ。家に帰れば・・・」
ケイリーは後ろにいるはずのない気配を感じ、ふと言葉を止めた。
そして、ゆっくりと両手を上げる。
「家に帰れば?」
後ろからどこか聞き覚えのある落ち着いた男性の声が聞こえる。
「家に帰っても、もちろん、いい男のボイスです」
「当たり前だ」
ケイリーと同じ様な金色の髪、そして印象的なエメラルドの様な緑の瞳。
ケイリーよりも5cmほど背の高いボイスはその瞳を細め笑みを浮かべている。
「ボイス、なんでまた来ているんだよ。何度も来る必要はないだろ?」
「・・・?俺は今日はまだ一度も足を運んでいないぞ。さっき、もうすぐ着くと連絡は入れたが・・・」
ケイリーはシェリーとジーンの方へ振り向いた。
シェリーはクスクスと隠れるように笑みをこぼしている。
「・・・シェリー。だましたな?」
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