□ scene3 □


それは地球ではない世界。しかし、地球に限りなく近い世界「ユリアス星」の思い出。

世界の空は限りなく青く、所々に色とりどりの花が咲き、緑が茂っていた。
そこには黒と白の布の様な服を巻き、歩く人々がいる。人々からは明るい笑い声や楽しそうな話し声が聞こえる。
若者達が街に溢れ、男も女も黒い髪を長く延ばしている。
そして、その微笑む瞳は、その殆どが左右異なる色を持っていた。
その中で、見た目10代後半の青年が人を捜し街を歩いていた。
「・・・ルイ兄さんはどこへ行かれたのだろう・・・」
街の中を青と緑の瞳が心配そうに見つめる。
「シキ・・・ここだよ」
シキはふとその声の方へ振り向いた。
そこには20代前半の若者が立っていた。
どことなくシキに似ている若者は朱と紫の瞳を細め微笑んだ。
「ルイ兄さん」
ルイと呼ばれた若者はにっこり笑みを浮かべ、何も言わずシキを手で招いた。
シキは不思議に思いながらもルイに近づく。
ルイはシキが来たと同時に少し先の街の終わりを指差した。
「この先のシールドが少し弱まっている。・・・弱っているのか、それとも逆に氷の力が強まっているのか・・・分からないが・・・」
ルイの言葉にシキは不思議そうに首を傾けた。
「気づかないか?王宮の科学者達、創師の生み出す科学の力で街の全てをシールドで包み、 世界を包む氷から街を守っているはずなのだが、この地域だけ温度が低い。外の氷がこのシールド内に影響を与えているようだ」
シキはルイの指差す方へ一歩前へ出た。
氷から世界をシールドで守り、常春の気温で守られている世界に冬の空気が一瞬流れていく。
確かに氷の気配を感じる。
「この何年か氷の動きが激しくなっている。シールドの力を強めても、すぐにシールドが弱くなっている。 このまま氷の暴走が始まったら・・・私達の力では制御出来なくなるかも知れない・・・そうなったら・・・・」
ルイは瞳に不安な影を落としながら、シールドの中で創られた青い空を見つめた。
シキはルイの不安そうに見上げる姿を見つめる。
遠くからはユリアス星の人々の明るい笑い声が聞こえてくる。
ルイはシキの不安げな瞳を安心させるかのように優しく微笑んだ。
そして、シキの頭にそっと左手を乗せる。それに反応してシキの長い髪が揺れる。
「大丈夫だよ・・・それまでには、創師達が生み出す科学はもっと進歩する。氷の暴走を押さえられるほどにね・・・」
「・・・ルイ兄さん・・・」
「さぁ、父上の所へ行こう。シキが来たと言うことは父上がお呼びだろう」
ルイはにっこり笑みを浮かべ、シキに向かいウィンクをする。
シキも嬉しそうにその青と緑の瞳を細めた。

 

-scene4-

-scene2-

-back-