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東京都港区芝公園、高くそびえる朱色の鉄塔はあった。
全長333メートル自立鉄塔としては世界一の高さを誇る東京タワーは、昭和33年の開業以来、東京の名所として、 また国際都市東京のシンボルとして多くの人々に親しまれていた。
高さ150メートルの所にある大展望台よりも上空、地上より250メートルに特別展望台はあり、 12月24日のクリスマスイヴで大勢の人々が大都市東京の夜景を眺めていた。

男性もその一人であった。

白いタートルにグレイに近い薄い紫のスーツを着込み、右手にはロングコート、左手には小さな赤いプレゼントBOXを持っていた。
暫くし、大展望台からのエレベーターが到着しドアが開く、中からあふれる人の波の中に男性の視線が集中した。
しかし、人の波が消えると同時に男性の瞳も曇り、目を伏せる。
「待ち合わせですか?」
突然の声に男性は驚き振り向いた。
そこにはストレートの黒髪を背中まで伸ばし、軽く編まれており、にっこりと微笑んだ人が住んでいた。
「僕もなんです。下の大展望台で待っていたのですが、待ちきれなくて上まで登ってきてしまいました」
男性は一瞬女性と見間違えそうな見た目20前後の若者の微笑みを眩しそうに見つめていたが、ふと、両方の瞳の色が多少異なっているのに気が付いた。
「・・・紫の瞳・・・」
一瞬不思議そうに見つめるが、分かったかのように微笑み返す。
「あぁ、僕の左右の瞳の色ですね。・・・言い遅れました。僕、占いを職業としているのです」
そう言いながら、2センチ程の小さな水晶玉を差し出した。
「ユリアス・オーブ・アドリエスです。よろしく」
再び蔓延な笑みを浮かべる。
「ぜひ、一度来てください。恋愛、仕事、ギャンブル、未来。それから、人捜しなど全て占えますよ」
「・・・人・・・捜し・・・」

「ユリアス・・・探しました」
その声に振り向くとロングコートを着込んだ背の高い男性がたたずんでいた。
ユリアスと同じく、それよりも長い編まれた黒髪は、腰のあたりまで伸びている。
ユリアスは安心したかのように微笑みながら呟いた。
「シキ・・・」

 

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