□ scene6 □


次の日、ユリアスとシキはC棟803号室の扉の前にいた。
ユリアスは鮮やかな緑色をした腰から広がるシャツを着込み、スパッツのような黒いパンツを履いている。
手には緑色のベレー帽を持ち背中には黒いエナメルのリュックを背負っていた。
その隣に立つシキも淡い緑色のスーツを着込んでいる。

「入ります」

そうつぶやくとユリアスはゆっくりと扉のノブを回し扉を開いた。
数多くの医療機器がベットの周りに囲むように置かれている。
その中に一人の女性が横たわっていた。
「初めまして。神崎ツヤ子さん」
ベットの隣にある長椅子に黒いリュックを置き、その中から直径10cm程もある水晶玉を手に取る。
「近くにいてくれればいいのだけど・・・」
水晶玉をツヤ子の頭に近づける。すると、水晶玉の中に微かに何かを映し出し、それは次第に人を形取っていった。
「見えた・・・」
水晶玉の中の人物。ツヤ子は必死にある方向へと足を進めていた。
水晶玉の中の先に見える朱色の鉄塔。
「東京タワーですね・・・」
「うん。このままじゃ永遠に抜けられない。ずっとあの鉄塔を目指して走るんだ。届くことがない朱色をした鉄塔、東京タワーに向かって」
シキはユリアスの肩にそっと手を置いた。
「ユリアス・・・彼女のお手伝いをしましょう。東京タワーに届くように」
ユリアスをゆっくりと頷き水晶玉へ片手をかざした。

そして、静かに目を閉じる-----------

しばらくするとユリアスの体からは銀色の光が輝き始め、再び瞳を開いた時、右の瞳は黒から銀色へ色を変え、両耳は白い小さな翼と変わっていった。

 

-scene7-

-scene5-

-back-