□ scene7 □


ツヤ子は朱色の鉄塔へ向かい歩いていた。
大地も空も分からない暗闇の中にただ一つ浮かび上がっている朱色の鉄塔へただひたすら歩いていた。
何日も歩き続けているはずなのに、近づいてこない東京タワーにツヤ子は足を止めた。
「少しでも、前よりは近づいたかしら・・・」
星も月も見えない暗闇の空を見上げる。
「・・・何か・・・?」
空から白い何かが降ってくる。
降りて来るに連れそれは純白の一枚の羽根に形を変えていった。

「・・・・羽根・・・?」

ツヤ子は胸の前に両手を差し出し舞い降りてきた白い羽根を受け止めようとするが、 手のひらに後少しのところで羽根は宙に浮いたまま手のひらから逃れるように再び上空へ浮かんだ。
「ツヤ子さん。もう歩かなくて良いんだよ」
空から声が聞こえる。その方向へツヤ子は振り向いた。
そこには長い黒髪を持つ若者が暗闇に足を組むように座っていた。
「・・・あなたは・・・」
黒髪の間から白い翼が見え隠れする。
「ぼくはユリアス・・・占い師です。哲也さんの依頼であなたを捜しに来ました」
「哲也・・・さん? そう、東京タワーで5時に待ち合わせをしているのよ」
そう言いながら、腕時計を見る。その時計は5:00に針を刺したまま動いていない。
「あぁ、もう5時過ぎているわ。東京タワーはあんなに遠いのに・・・」
「東京タワーはここにあるよ」
「何を言っているの。東京タワーはあの先に」
ツヤ子は東京タワーを指差すが、先ほどまで暗闇の先には何もなくなっていた。
「ツヤ子さん・・・哲也さんが特別展望台でお持ちです・・・行ってあげてください」
ツヤ子はユリアスの方へ振り向く。
そこには暗闇に座っていたはずのユリアスは朱色の鉄筋に腰をかけていた。
東京タワーが空を突くように建っている。

「東京・・・タワー」

ユリアスは大地へ舞い降りるようにゆっくりと降りるとツヤ子へ手を差し述べた。
「特別展望台へ・・・哲也さんの所へ案内します」
ツヤ子は銀とアメジストの瞳で笑むユリアスを見つめた。そしてゆっくりと手を延ばしながらにっこりと微笑んだ。

「えぇ・・・占い師さん」

 

-epilogue-

-scene6-

-back-