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「瞳を閉じてクリスタルに手をかざして下さい。そして、相手の事を強く想って下さい」
秋の香りが立つ9月の終わり、東京都渋谷区、この街に占い館「GOD EYES」はあった。
占いブームの波のも乗り、連日大勢の女性達の長い行列が出来ている。
その人気の秘密は占いの的中率もさることながら、占い師達の甘いマスクも一役買っていた。
その「GOD EYES」の唯一の占い師ユリアス・オーブ・アドリエスは、その館の名前の由縁でもある左右違う色をした瞳をゆっくりと細めた。
その姿は黒い布のような服を頭からかぶり、唯一の飾りである糸の様な頭から下がる宝石を付けていた。
それは、当たりを照らす蝋燭のオレンジ色の炎で美しく光を放っている。
ユリアスは前に座る女性と同じように、テーブルの上に置いてある大小さまざまなクリスタルの中で、
一番大きな直径20cmほどもある大きなクリスタルに手をかざし瞳を閉じた。
すると、ユリアスの頭の中に一人の男性が浮かび上がる。
その男性はにっこりと微笑み、こちらへ向かって両腕を広げる。
男性の背後には透き通るような青空と遠くにそびえ立つ白い建物。
その建物には大きな十字架が掛けられており太陽の光を優しく反射させていた。
その時、ユリアスの頭の中に違う微かな声が飛び込んだ。
その声は次第にはっきりと聞こえて来る。
「ア・・・イ・・タイ」
ユリアスはゆっくりと瞳を開いた。
「ありがとうございました。瞳を開いて下さい」
女性はゆっくりと瞳を開く。
その姿を見ながら、ユリアスはにっこりと笑みを浮かべた。
「あなたの答えは、ここへ来る前に決まっていますね」
そのユリアスの言葉に女性はとまどいながらも頷く。
「本当にそれで良いのか・・・決めてしまっていいのか・・・不安だったのです。誰かに後押しされたくて・・・」
「彼はその両腕で貴女をやさしく包んでくれますよ。大丈夫。彼とのステキな未来が待っていますよ。早く彼の所に言って上げて下さい」
女性はにっこりと笑みを浮かべる。
「ありがとうございました」
女性は一礼をし、小走りに部屋から出ていった。
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