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ユリアスは高志の案内で功の部屋へ辿りついた。
高志は部屋のドアをノックし、中にいる功へ聞こえるように大きな声を上げた。
「功っっ!!入るぞっ!」
高志は期待した返事もないドアに手を乗せ、ユリアスに向かい哀しい笑みを浮かべた。
「あなた達に見えると良いのだけど・・・」
高志はゆっくりとドアを開いた。
開くドアの中から飛び出るような景色に、ユリアスは思わず声を上げた。
「・・・これは」
ユリアスの紫と黒の瞳には緑に映える木々が葉を大きく広げ部屋の中に溢れている。
「・・・前に来たときよりも木が成長している。それに・・・」
高志は部屋の奥にあるベットを指差した。
ベットにはいるはずの功の姿はなく、ベットの先にある壁には大きな穴が開いており、その先に緑の森が広がっていた。
「壁に森の入口がある・・・。前に来たときには無かったのに」
シキはふと目の先にある木々の葉に触れた。
葉は雪が溶けるようにシキの手の中で消えていく。
「敵意は持っていないようですね。まるで誰かの夢の中へ迷い込んだようです」
ユリアスは高志に向かってにっこりと微笑んだ。
「壁にある穴の奥から香りが運ばれてきている。功さんはきっとその場所にいると思うよ・・・。行ってみよう」
高志はゆっくりと頷き、ベットの奥の空間へ入っていった。
そして、ユリアス達もその後を追う。
中の風景は緑の森のように木々が奥へと広がっていた。
その中には人や獣が踏み固められた一本の道が奥へと続いている。
甘い香りも奥から微かな風に乗って運ばれてきている。
高志は奥へと進み続けていた足をふと止め、周りを見渡した。
「・・・ここは・・・」
高志はそう呟くと、再び道を歩き始めようと奥を見つめる。
「・・・ア・・・イ・・・タイ・・・」
ユリアスは驚いた様にシキに呟く。
「・・・この声」
「・・・アイタカッタ」
高志はこの声に誘われるように奥に向かって一本道を走りだした。
「高志さんっっ、待ってっっ」
ユリアス達も高志の後を追った。
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