□ scene2 □


「あら?香水をつけているの?シキ」

ブランドメーカーの衣装合わせに来ていたシキは、同じ事務所モデルのプラチナブロンドと氷の様な青い瞳の女性に声をかけられ、笑みを浮かべた。
「香り強いですか?シェリー。先ほど付けられたばかりなので・・・」
「いいえ、強くは無いわ・・・でも、不思議と存在感のある香りね。この香りは何の香りかしら・・・」
「エルエルの新作「エーゲ」だよな。シキ」
シキはその声の方へ向き、嬉しそうに微笑む。
「よく分かりましたね。ケイリー」
そこにはシキとほぼ同じ背の高さのブロンドに緑の瞳の男性が笑みを浮かべたたずんでいた。
「実は同じ香りを付けていた人に聞いたんだ」
そう言いながら、ケイリー・マクナイトはシキの耳元で香りを嗅ぎながら囁いた。
「よく似合っているな。でも気を付けた方が良いぞ。エルエルの仕事を取られたと思いこんでいる姫が痛くご立腹の様だ」
女性モデル、シェリー・マイヤーも周囲のモデルに聞き取られないように囁く。
「あぁ、その噂、聞いたことがあるわ。あのエルエルを女性ではなく男性に取られたって、シキを目の敵にしているって」
「エルエルの新作は女性には合わない。勿論、スーパーモデルのこのケイリー・マックナイトや、シェリー・マイヤーもね。 エルエルのモデル変更は当然の結果だ。水のような未知数な存在が必要なんだよ。それにはシキ・クランドル。君が一番よく似合う」
シキはケイリーの言葉を静かに聞いていたが、やがてにっこりと微笑んだ。
「ありがとう、ケイリー。そう言って頂けると嬉しいです」
シキはそう言いながら立ち上がる。
「私はそろそろ行かなければ」
「次の仕事か?」
「えぇ、そのエルエルの姫とですが」
ケイリーとシェリーは驚いたように立ち上がる。
「何だって?その仕事はジーンが持ってきたのか?」
「そうですよ、私は他では契約をしていませんから」
その言葉を聞いたとたん、ケイリーは勢いよく立ち上がり出口へと走り出した。
「俺はジーンの所へ行って来る。シェリーはシキと一緒にいろよ」
シェリーはケイリーが出口から消えていくのを見ながら呟いた。
「ケイリーのあんな姿を見るの初めてだわ。いつも他のモデルなんて関係ないと言わんばかりの態度をとるのに。 シキ、あなたは幸せね。・・・なんか妬けちゃうわ」
そう言いながら、シェリーは青い瞳でウィンクをした。

 

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