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「シルバーの君」
その声にモデルクラブBe-bへの道を歩くシキははっとし振り向いた。
そこには同じモデルクラブのケイリー・マックナイトがそのエメラルドの宝石のような瞳に笑みを浮かべていた。
白いTシャツにジーンズというラフな格好で太陽の光に透けるような黄金色の髪を掻き上げる。
「近頃、シキをそう言う呼び方をするモデル仲間が増えてきたぜ」
「・・・私を・・・ですか?」
シキはそのままケイリーの言葉を待たずに、モデルクラブに向かい流れるような黒い髪を揺らし、さっそうと歩き出した。
「シルバーの君? あぁ、君主の事ですね」
Be-bのオーナー、ジーン・R・アンダーソンは茶色の髪に茶色に近い緑の瞳を細め、デスクの上で肘を付いた。
その隣には女性モデルのシェリー・マイヤーが青い瞳で微笑む。
「モデルの中の頂点、スパーモデルと言われている人々の中に、ある一部だけ仲間内で君主と呼ばれる人たちがいるのよ」
「・・・何故、私が君主と呼ばれるのですか?」
シキの後ろについてBe-bクラブに入ってきたケイリーがクスクスと笑う。
「シキは十分トップモデルだよ。俺達と同じようにね」
「何故、シルバーなのですか?」
シェリーはゆっくりとケイリーの元へ歩いて行く。
「緑の瞳のケイリーは、エメラルドの君。銀の髪を持つ私がプラチナの君・・・そして、あなたのその神秘的なイメージがシルバーに例えられているのよ」
シキは囁くように呟いた。
「私達の国では銀色は世界を司る色として言われ、王のみが使用できるのです。私はその色で呼ばれる訳にはいきません」
ジーンはシキの言葉を頬杖を付きながら聞いていたが、すっと立ち上がる。
「シキはもう一つ違う君主と言われる場合もあるのですよ。シルバーの他にね。まだ数人の仲間が言っているだけですからシェリーもケイリーも知らないはずです」
シェリーは考えながら右手の人差し指を口元へ動かす。
「シルバーの他にシキのイメージに合う鉱物・・・ダイヤモンドのように何色にも染まっていない・・・だけど、ダイヤほど自我を主張しない・・・」
「なによりも他のモデル達が言われていない鉱物ですよ」
ジーンはにっこりと笑みを浮かべながら静かに呟いた。
「クリスタル。君にはこの君主がよく似合いますよ」
ジーンはスーツの内ポケットからクリスタルで出来た長いネックレスをシキの首へかけた。
「このネックレスと共に招待状が届きました。あなたのヲォーキングが見たいそうですよ」
そう言いながら、シキへ招待状を渡す。
「コレクションナウ?」
「毎年日本の東京で行うコレクションです。季節にあったコレクションを・・・というコンセプトで衣装、
飾り、髪型、そして履き物や香りまで世界でも有名なメーカーが集まりその年のその季節に合わせ、トータルコレクションを行うショーです」
いつの間にかケイリーもシェリーも招待状が入っていた同じ封筒を持っている。
「そして、そのショーモデルはスーパーモデルと言われている仲間だけ」
「勿論、行くわよね。シキ」
シェリーが封筒を片手に笑みを浮かべながらウィンクする。
「・・・東京ですか・・・ユリアスの仕事上もありますので即答は出来ませんが、多分大丈夫でしょう」
シキはそう言いながらにっこりと微笑んだ。
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