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片腕を失ったヒューマノイドはギシギシと音を立てながらもユリアス達に近づく。
その姿を見ていたシキの何もないはずの手のひらの中が少しずつ輝き始めた。
シキは何も言わず右手をヒューマノイドへ向けてかざした。
「19号・・・21号・・・」
シキはその声に反応するようにかざした手の光を止めた。
「博士ガオ呼ビデス」
19号はそれ以上に何も言わず先を歩き出すが、片腕を失ったヒューマノイドの姿を見ると近づいていく。
-----ガツッ------
19号の拳がヒューマノイドの胸を切り裂く。
その拳はヒューマノイドの体を突き抜け、拳の中にあるヒューマノイドの部品を握りつぶした。
今までヒューマノイドから聞こえてきていた小さなモーター音が少しずつかすれていき、いつくか輝いていたランプも次第に光を失っていく。
次の瞬間、大きな音と共にヒューマノイドは床へ崩れていった。
19号は床に散らばり、転がってきたヒューマノイドの部品を踏みにじった。
「・・・ヒューマノイドを破壊したのは博士の命令?」
ユリアスは崩れ落ちたヒューマノイドを見つめながら呟いた。
「片腕ヲ無クシタ物ハ必要ナイ」
19号は冷たく言い放つと研究所の奥へ歩き出した。
暫く歩くと、ある扉の前で足を止める。
「ココダ」
19号達が足と止めた場所には、両開きする自動ドアの様な扉がある。22号は扉の近くについている長方形の制御装置に手をかざした。
すると、扉は自動的に開き出す。
そこには巨大なスクリーンが壁一面にあり、そのスクリーンの正面に銀色の髪を持つ若者が椅子に深々と座っていた。
スクリーンの画面にはユリアス達が見つめる光景がそのままスクリーンに映し出されていた。
「・・・博士」
アレクが震えるように呟いた。
若者はその声に反応するように椅子に座りながらゆっくりと向きを変えた。
スクリーンも同じように表示を変えていく。
その若者は嬉しそうに笑みを浮かべた。
「やっと帰ってきましたか・・・アレク」
「僕は、帰ってきたのではありません。24号を・・・アリスを連れ戻しに来たのです・・・博士。アリスは無事ですか?あのままの姿でいますか?」
博士は緑色の瞳を細める。
「私は君たちの顔が一番気に入っていますからね・・・すぐにでも逢わせてあげますよ・・・すぐにでも」
博士はアレクに向けていた視線をユリアス達へ向けた。
「初めましてと言うべきでしょうね。ユリアス・オーブ・アドリエス・・・そして、シキ・クランドル」
その瞬間、博士の後ろにあるスクリーンがフッと暗くなる。
「あなた方の放したウィルスは強力ですね。開閉の制御機能だけでは満足しないらしい。他の機能まで食い尽くしている。
これほど高度な機能を持つものは初めてですよ」
アレク博士はそう言いながらスクリーンの隣にある、すでに機能を停止した巨大な装置を見つめた。
「もう、これも使い物になりませんね」
「そう言って使い物にならなくなった物は壊してしまうの?」
ユリアスは哀しそうに呟き話を続ける。
「あなたにとって役に立たなくなった物は自ら壊してしまうんだね。コンピュータや警備ロボット、そして人型のロボットも・・・
人の心を持たせたヒューマノイドさえ必要ない物は壊してしまうんだね」
博士は緑の瞳を伏せながら銀縁の眼鏡をそっと外し、ユリアスに向かって不敵な笑みを浮かべた。
「役に立つ物だけが必要なのですよ」
その時、部屋の奥にある扉が開く。
ユリアスの後ろにいたアレクが目を見開き叫んだ。
「アリス!!」
アレクと同じ顔を持つ少女は長い黄金の髪を揺らしながらアレク博士へ近づいた。
「博士、アレト同ジ能力ガ欲シイワ。アノ部品ヲ使ッテ。アノ部品ヲ」
そう言いながら、アリスはアレクを指差した。
「アノ、アレクノ部品ヲ」
アリスはアレクに向かって襲いかかった。
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