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「弓木、包帯も追加。よろしく」
「分かった」
真っ白な包帯を沢村の肩から胸にかけて巻きながら、白倉は少しだけ安心したように微笑んだ。
「どんな所にぶつかるとこんな傷が出来るんだ?、先生。でかい擦り傷だから血が多く出たが、
縫う必要はなさそうだ。ただ、明日あたり派手にアザが出来てるだろうな」
「はぁ・・・」
「当分、学生達には見せるなよ」
「・・・見せませんよ!」
弓木は白倉と沢村の会話を聞きながら、楽しそうに微笑んだ。
「やはり、噂通りの人ですね。沢村先生」
沢村はその弓木の言葉に不思議そうに首を傾げる。
「・・・僕の噂・・・?、・・・変な噂が流れてますか?」
その言葉に沢村に包帯を丁度巻き終わった白倉は楽しそうに声を出して笑う。
その姿に沢村は血の付いたままの服を少し恥ずかしそうに着ながら呟いた。
「そんな笑う事ないじゃないですか、白倉先生」
「あぁ、わるい、わるい」
その時、遠くの方で微かに何かがぶつかる様な衝撃音が聞こえた。
沢村が心配そうに椅子から立ち上がる。
その沢村の姿を横目で見ながら白倉と弓木は視線を交わした。
「沢村先生、心配しなくても大丈夫だ。あいつらは・・・イチハもいる事だしな」
その言葉に沢村は驚くように白倉を見つめた。
「そのうちここに来るさ」
「・・・白倉先生、僕たちのこと・・・。それよりもイチハくんの事、知っているのですか?」
その言葉に白倉は少し驚きの表情を浮かべた。
「・・・イチハ達から何も聞いていないのか・・・通りで・・・」
白倉は小さくブツブツ何かを呟いていたが、沢村へ視線を向ける。
「前学生会の顧問、俺がやってたんだ」
「・・・前顧問?、そう・・・?・・・えぇぇぇ!!」
弓木が湯気の立つ煎れたばかりのコーヒーを沢村へ渡す。
コーヒーの芳ばしい香りが一面に広がる。
白倉も弓木からコーヒーを慣れた手つきで受け取る。
そして、一口ゆっくりと飲んだ。
「・・・何を話して欲しい? 沢村先生」
沢村は両手でカップを持ち上げる。
芳ばしい香りと温かな湯気が沢村を包む。
「・・・何をって言われても・・・」
「そうだな・・・」
白倉は少し考え、そして優しく笑みを浮かべた。
「・・・少し、昔話をしようか」
白倉は再びコーヒーを一口飲むと、ゆっくりと話し始めた。
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